研究課題/領域番号 |
20K07730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
阿部 央 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (10711161)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 眼球運動 / LIP / マーモセット / カルシウムイメージング / 霊長類 / 意思決定 / 前頭眼野 / 視覚 / 注意 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含む霊長類は外界の情報の多くを視覚に頼っており、一秒間に数回、サッカードと呼ばれる急速な眼球運動を行い、外界の情報を収集している。神経細胞が情報を処理する視野の一部分(受容野)が、サッカードの直前に、予め移動する現象が知られており、視覚の恒常性を保つための機能として従来解釈されてきた(リマッピング仮説)。しかし、新しい研究では否定的な結果が得られており、一致を見ていない。 この問題を解決するために、本研究では、イメージングによる新しい研究手法により、前頭眼野の神経細胞の受容野の時空間特性、ならびに、解剖学的構造との対応関係を明らかにして、前頭眼野の眼球運動の神経回路の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
小型霊長類であるマーモセットで、視覚誘導性、記憶誘導性、報酬を伴う意思決定課題など種々の眼球運動関連課題の訓練に成功した。しかしFEFの観察窓の維持が難しかったため、暫定的に頭頂葉の眼球運動関連領野であるLIPに対象を切り替えて実験を行った。まずはLIPトポグラフィーについて調べたところ、1光子カルシウムイメージングでは明瞭な構造は見られなかった。次に、2光子顕微鏡実験により、個々の細胞レベルで検討した結果、視野の様々な場所に対応する受容野をもつ細胞が混じり合って存在していることが分かった。このことが、1光子イメージング実験で、明瞭なトポグラフィーが見られないことの大きな理由と考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
視覚や運動に関連する脳領野では明確な機能構造が知られている。一方で、視覚と運動の両方に結びつく眼球運動関連脳領野では、同様な機能構造が存在すると主張する研究もあるが、研究間で一致した結果が得られていない。本研究では、従来の研究手法とは異なり、脳領野に含まれる多数の個々の神経細胞の活動を同時に計測することで、機能構造が存在するかを調べた。その結果、個々の細胞レベルでは、様々な受容野を持つ細胞が局所的に混在していることがわかった。このことが、明確な機能構造が先行研究で報告されてこなかった理由と考えられた。これまで詳細に検討することができなかった機能構造を明らかにすることに本研究の意義がある。
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