研究課題/領域番号 |
20K07765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
上窪 裕二 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80509670)
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研究分担者 |
高杉 展正 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60436590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Gタンパク質共役型受容体 / アルツハイマー病 / 膜タンパク質 / 神経伝達 / 器官培養 / 海馬 / GABA / シナプス / GABAB受容体 / ライブセル・イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜には多くの種類の膜タンパク質が発現し様々な機能を果たしている。膜タンパク質の構造と機能解析技術の進歩に伴い、膜タンパク質同士の相互作用が明らかとなり注目されている。本研究では膜タンパク質であるGタンパク質共役型受容体同士の複合体とアルツハイマー病の原因物質の一つであるアミロイドベータの前駆体タンパク質が形成する巨大な複合体の生理的な役割と分子メカニズムに注目して研究を行う。
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研究実績の概要 |
膜タンパク質を標的とした立体構造と機能解析技術の進歩に伴い、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)をはじめとする細胞膜タンパク質間の複合体形成と機能的な相互作用が明らかとなりつつある。膜タンパク質が形成する巨大な複合体は、膜タンパク質の本質であり、その実態を理解することは生命科学の発展に大きく寄与すると考えられる。本研究では多種類の膜タンパク質からなる巨大な複合体(超複合体)の形成とその機能を明らかにするため、アルツハイマー病(AD)の原因の1つであるアミロイドベータ(Aβ)の前駆タンパク質 (Amyloid precursor protein; APP)と神経伝達に関わるGPCR複合体が形成する複合体に注目する。 Aβは、APPがセクレターゼという膜型プロテアーゼによって2段階の切断を受けることによって産生される。Aβの異常な蓄積がADの原因であると考えられているが、その詳細については未解明な点が多い。代表者らはAPPとGPCRの複合体形成によるAPP切断の制御をより生体内に近い状態で評価するために、脳器官培養による評価方法の確立を実施した。ラットやマウスの海馬を400マクロメートルの厚さでスライスし培養する「スライス培養法」を用いてAPPの切断について評価を行った。検討の結果、培養海馬スライスにおいてAPPとセクレターゼの発現が数か月にわたって維持され、分泌されるAβを経時的に評価することが可能であることが明らかとなった。代表者らは培養海馬スライスを用いて、APPとGPCRの相互作用とAPPの切断制御について経時的な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き研究に必要な消耗品などが世界的に不足する状況が続いたため研究の進捗が遅れている。一方で、申請者らは脳の器官培養を用いた経時的なAPP切断解析法を確立した。そのため、当初計画よりもAPPとGPCRの相互作用について生体内に近い形で解析することが可能となり、研究の推進が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
HEK293細胞を用いた評価ではAPPと標的GPCRの相互作用の評価は困難であった。そのため、培養海馬スライスを用いてAPPと標的GPCRの相互作用とAPPの切断制御について解析を行う。APPとGPCRの複合体形成については免疫沈降法などの生化学的な評価を行う。APPの切断については培養液中に分泌されるAβの定量解析を行う。GPCRの機能制御については、ライブセル・イメージングによる細胞内シグナルの評価などによって評価する。
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