研究課題/領域番号 |
20K07791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
相磯 聡子 杏林大学, 保健学部, 教授 (40195144)
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研究分担者 |
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 教授 (80291326)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | miR-1246 / RNU2-1 / コピー数多型 / バイオマーカー / 偽遺伝子 / 肺腺癌 / snRNA / qPCR / miRNA / microRNA / スプライソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
血中のmiR-1246は様々ながんのマーカーとして注目されてきた。また細胞の遊走能や浸潤能を上昇させると考えられている。最近の報告で、miR-1246はスプライシングに関わる核内低分子RNAの断片(U2断片)であることが証明された。snRNA U2遺伝子はコピー数多型を示すことから、肺癌患者において、snRNA U2遺伝子コピー数と血清U2断片量およびがんの進展との関連性の有無を解析する。また、U2断片化の機序およびU2断片過剰発現によるスプライシングへの影響を解析し、U2断片の機能を明らかにする。本研究の成果は、肺癌進展マーカーの確立と肺癌の進展におけるU2RNA断片の機能の解明に寄与する。
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研究実績の概要 |
snRNA U2遺伝子(RNU2-1)のコピー数多型解析法の改良:当遺伝子のコピー数多型は数~数十以上と非常に幅があるため、リアルタイムPCR法による比較定量キットでは正確な結果を得ることは困難で、絶対定量を行う必要があった。令和3年度はこの条件設定を行い健常人検体のコピー数解析を行ったが、この方法は煩雑で、誤差が生じやすかった。そのため令和4年度はデジタルPCR法を用いる方向で改めて条件検討を行い、健常者DNAについてデータを得た。リアルタイムPCR法を用いた場合とほぼ同じ結果であったが、得られたデータの信頼性は高くデータ取得に要する時間は大幅に短縮することができた。肺癌患者検体の収集は本学医学部付属病院において行うことを計画していたが、バイオバンクより提供を受けるため新たに倫理審査申請を行った。 snRNA断片の定量における交叉反応の可能性の解析:データベース情報によれば、miR-1246(snRNA U2断片)の塩基配列は少なくとも6種のsnRNA U2偽遺伝子に保存されている。本研究で注目しているpseudo U2断片(偽遺伝子RNU2-2Pに由来)の塩基配列については他には相同配列が見られないことが分かった。これは疾患マーカーとして有利な点である。 miR-1246 isoformに関する解析:既存の肺癌患者血清を用いた解析により、肺腺癌患者の血中miR-1246レベルの上昇は、miRBase型ではなく5’末端が2塩基短いisoformの上昇によるものであることを明らかにし報告した(Aiso T & Ueda M. Mol Med Rep 27:12979, 2023)。この成果はmiR-1246の標的遺伝子を理解する上で重要な情報を与える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大に伴い、①教育業務が増大し、研究時間確保が難しかったこと ②大学病院における肺癌患者検体収集が実施できなかったこと、が主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
コピー数解析の方法をリアルタイムPCR法からデジタルPCR法へ変更する。デジタルPCR装置は本学医学部共同研究施設の機器を使用する。またデジタルPCR用のキットを新たに購入する。肺癌患者検体については、文科省コホート・生体試料支援プラットフォームより提供を受けるための手続きを進めており、肺癌患者ゲノムDNAおよび癌組織と周辺の非がん部のDNAにおけるRNU2-1コピー数の解析、血清snRNA U2断片(miR-1246)およびpseudo U2断片の定量を行う予定である。
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