研究課題
基盤研究(C)
白血病などの骨髄系腫瘍は様々な病型があり、原因遺伝子異常や細胞分化段階が異なっていることから治療方法も異なる。したがって病初期の正しい診断が治療成績向上のために非常に重要である。骨髄系腫瘍研究では網羅的遺伝子変異解析や発現解析が盛んに行われて多数の知見が得られているが、臨床実装には程遠い。そこで本研究では、がんゲノム医療拠点病院として、診断・治療選択に直結する遺伝子変異解析検査法の確立を目指し、遺伝子パネル検査を用いた臨床症例の解析から必要十分な解析対象遺伝子を絞り込んだ「骨髄系腫瘍診断検査パネル」を作成する。初発時にこのパネル検査を行うだけで正確な診断と適切な治療選択や予後予測が可能となる。
造血器腫瘍の診断・治療選択に直結する遺伝子変異解析検査法の確立を目指し、骨髄系腫瘍遺伝子検査パネルを作成して改良を重ねた。これまでに、900件のクリニカルシークエンスを実施し、骨髄系腫瘍のリスク分類に対応可能な検査パネルが完成した。検体として骨髄塗抹標本を用いた解析法を確立し、初発時検体や経時的変化の解析が可能となった。また、パネル検査で遺伝子の欠失・増幅を検出するコピー数解析法を確立し、エクソン単位での遺伝子欠失や増幅の検出を可能にした。さらに、急性リンパ性白血病関連遺伝子を加えたパネルやB細胞系リンパ腫に対応可能なパネルも作成し、運用を開始した。
遺伝子パネル検査を用いた臨床症例の解析から、必要十分な解析対象遺伝子を絞り込んだ「骨髄系腫瘍診断検査パネル」を作成した。初発時にこのパネル検査を行うだけで、診断に有用な多数の遺伝子情報が得られ、適切な治療選択や予後予測が可能である。また、初診時の保存細胞がなく、すでに治療が行われて腫瘍細胞が得られない場合、初発時の骨髄塗抹標本での遺伝子パネル解析も可能であり、移植適応判断等に有用である。これまでの単一遺伝子変異解析に取って代わるだけでなく、染色体検査や白血病キメラスクリーニング検査に匹敵する検査法を確立できたと考える。
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