研究実績の概要 |
1. ヒト肝細胞癌における時計遺伝子発現の検討:肝細胞癌10症例の癌部非癌部組織よりRNAを抽出した。Clock, Bmal1, Per1, Per2, Cry1の発現を癌部と非癌部で解析したところ、Per1およびPer2が癌部に比べて非癌部で有意な発現低下があった。 2. 正常肝細胞および肝癌細胞株における時計遺伝子発現と炎症性サイトカインに対する反応:複数の肝癌細胞株のcDNAを用いて、Clock, Bmal1, Per1, Per2, Cry1の発現を解析し、細胞株間で発現の差を認めた。Per2の発現が低い細胞株と、高い細胞株で、種々の炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-4, IL-13, TNF-α, IFN-γ, IL-10, TGF-β)の添加を行い時計遺伝子の変化を解析した。その中でPER2発現が低い株は、高い株と比較し、IL6およびTNFα発現が高かった。 3. 分子標的薬の正常肝細胞および肝癌細胞株における時計遺伝子の発現と炎症性サイトカインに対する反応:肝癌細胞株 (Hep3B, HLF, HuH7)にレンバチニブ1μMを投与し、37℃で48時間培養した後に、Bmal1、Per1、Per2、 Cry1の発現についてqPCR法、western blotting法を用い検討。いくつかの時計遺伝子にmRNAおよびタンパクレベルで変化を認めた。 4. C57/BL6Jマウスを用い、抗癌剤投与の時間を変化し投与することにより概日時計の変化の検討:12時間毎の明暗群、24時間毎の明暗群に分けて、さらにそれぞれ明暗を切り替えた4群を準備。レンバチニブ10mg/kgを明で投与する群と、暗で投与する群に分けてチューブを用いて14日間経口投与し屠殺させ、肝臓における時計遺伝子の発現を解析。いくつかの時計遺伝子で興味深い結果が得られ検証を行っている。
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