研究課題/領域番号 |
20K08355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 福井大学 (2022) 名古屋大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
玉田 宏美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (60712817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 消化管 / 迷走神経 / カハールの介在細胞 / 線維芽細胞 / FIB/SEM / 迷走神経背側核 / 小腸 / FIB/SM |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、平滑筋細胞やペースメーカー細胞として知られるカハールの介在細胞などが構成する複雑な消化管運動制御機構(SIP Syncytium)の調節に、中枢神経系(CNS)がどのように関与しているかを、最先端電子顕微鏡技術と電気生理学的手法を用い、形と働きの両面から明らかにする。これまでの研究では、中枢神経系からの交感・副交感神経支配による消化管機能の亢進・抑制に注目したもの、あるいは、消化管を体内から取り出し、中枢神経支配を受けない環境下での研究がほとんどであった。本研究により、新たな中枢性の腸管運動制御の仕組み(CNS/SIP経路)が明らかになることが期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度に確立した迷走神経背側核へのGFP発現ウイルスインジェクションによる神経線維のラベリングと、消化管内に走行する当該GFP発現線維の同定後にFIB/SEM解析に進める光-電子相関顕微鏡観察法(Correlative Light-Electron Microscopy: CLEM法)において、より精度を高めるための手法の検討を行った。これまでに用いていた物理的マーキングよりピンポイントの線維の同定法を目指し、ビブラトームを用いたSemi-thin sectionによる試料作製を試みた。その結果、ビブラトームでのsection作製時に通常用いるアガロースやゼラチンなどの包埋剤と、消化管の切片組織との親和性が弱い点、また神経線維の走行がドット状に観察されるため同定が困難である点など、改善点は未だ必要であるものの、比較的観察領域が狭い部分に限局されるFIB/SEM観察において適した標本サイズで解析を効率的に進めることができると期待された。 また、SIP Syncytiumを構成するInterstitial Cells of Cajal(ICC:カハールの介在細胞)やplatelet-derived growth factor receptor α(PDGFRα:線維芽細胞)にGFPがそれぞれ発現するトランスジェニックマウスを用いた実験を開始し、ウイルスなどのトレーサーインジェクションとの組み合わせにより、染色することなく、迷走神経線維とSyncytiumのインタラクションを同定することが可能となった。 さらに、並行して進めている、迷走神経線維の出入り口である腸間膜に存在するマクロファージなどの免疫系細胞とPDGFRα陽性細胞との関連についても、損傷モデルを用いるなどして明らかにした他、本研究課題の解析法の主軸であるFIB/SEMを利用した神経細胞の解析も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属機関異動に伴い、新たな実験装置での手技の確立や実験手法などに若干の研究計画の変更があったが、本研究課題の最終目標につながる新たな進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度新たに検討した、標本作製上の工夫やトランスジェニックマウスの利用を積極的に行うことにより、効率的なデータの取得を進める。次年度では、新たな機能的実験との融合も視野にいれると同時に、原著論文への投稿へもつなげる。
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