研究課題/領域番号 |
20K08366
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
河合 隆 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (40266490)
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研究分担者 |
永田 尚義 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10562788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 腸内細菌 / 腸内真菌 / 機能代謝遺伝子 / メタゲノム解析 / ショットガンメタゲノム / 大規模コホート研究 / 多剤併用 / ショットガンメタゲノム解析 / 薬剤 / アスピリン / 腸粘膜傷害 |
研究開始時の研究の概要 |
低用量アスピリンの重大な副作用に消化管粘膜傷害があり、出血によるQOLの低下が問題となっている。中でも腸粘膜障害の予防薬は存在しないことから、その発症機序の解明や新規治療薬の開発が望まれている。動物実験モデルでは腸粘膜傷害の発症に腸内細菌の関与が示唆されているが、ヒトでは詳細に解明されていない。予備研究では、アスピリンと関連するいくつかの腸内細菌種が同定できている。本研究の成果により、微生物叢を用いたアスピリン性消化管粘膜傷害ハイリスク患者の予測や薬剤性腸粘膜傷害の標的微生物叢および代謝物質抑制薬に注目した新規治療への展開を目指す。
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研究成果の概要 |
5,200例の糞便のショットガンメタゲノム解析から、アスピリンに伴う腸内細菌叢は、Blautia属の減少、Strepotococcus属や Lactobacillus属の増加が特徴であった。これはワルファリン、DOAC、チエノピリジン系薬剤とは異なっていた。一方、PPIは、多数の口腔内由来の細菌種の増加と酪酸産生菌が低下が特徴であった。アスピリン単剤使用と比較しPPIの併用による腸内細菌変動の相加効果を認めた。腸内真菌叢の解析では、アスピリン使用者では有意な変動は認めなかったが、PPI使用者は特定の真菌種の変動を複数見出すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
薬剤の中でも世界的に頻度の高いアスピリンと胃酸分泌抑制薬(PPI)の腸内環境への影響を見出した。PPIでは著明な口腔内細菌の増加と酪酸産生菌の低下を認めた。また、アスピリンとの併用により腸内における口腔内細菌の相加効果があることが分かった。この2剤は血栓塞栓症で併用することが多い薬剤であり、継続的に使用することで腸内環境の負の影響から新たな疾患発症のリスクにもなる可能性が示唆された。今後、同定した腸内細菌種の変化が実際に粘膜障害を起こす機序を動物実験などの基礎研究で明らかにする必要がある。
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