研究課題/領域番号 |
20K08382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本多 隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10378052)
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研究分担者 |
藤城 光弘 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (70396745)
加藤 あす香 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (00801333)
石川 哲也 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (10288508)
由雄 祥代 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 肝疾患先端治療研究室長 (10774060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | B型肝炎 / HBs抗原消失 / Functional Cure / 機能的治癒 / コア変異 / 腸内細菌 / インターフェロン / 免疫応答 / HBs抗原消失 / ウイルス変異 |
研究開始時の研究の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)排除は現在困難でありHBs抗原が陰性化する機能的治癒(Functional Cure: FC)が治療目標となる。一方自然経過でFCが得られる症例も存在するが、FCに関与する因子と詳しいメカニズムは不明である。申請者はHBVコアI97の変異症例では肝炎沈静化及びFC率が高いことを見出しているが、コア変異が起こる機序は不明である。本研究ではB型肝炎の肝炎沈静化及びFCに関連する因子について、コア変異を含むウイルス変異、免疫応答、腸内細菌叢、miRNAの解析を含め、多面的に調べることにより、コア変異と免疫応答の関係、腸内細菌叢を介した免疫応答とFCの関連などを明らかにする。
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研究実績の概要 |
B型肝炎の肝炎沈静化及びHBs抗原が陰性化する機能的治癒(Functional Cure: FC)に関連する因子について、コア変異を含むウイルス変異、免疫応答、腸内細菌叢、miRNAの解析を含め、多面的に調べることにより、コア変異と免疫応答の関係、腸内細菌叢を介した免疫応答とFCの関連などを明らかにすることを目的として研究をおこなっている。免疫賦活作用を有するインターフェロン(IFN)治療においてどのような症例が自然経過例と比較してHBV DNA、HBs抗原がより減少するか比較検討した。CoreI97が測定された142例中IFNベースの治療が行われた24例(IFN群)と自然経過で推移した118 例(NH群)のうちHBV関連の背景を揃えた19例ずつを比較した。IFN群では治療後にcoreI97変異を調べた。NH群ではFC達成症例はみられず、IFN群において2例10.5%でFCが達成された。IFN群で治療前wildであった15例中、IFN治療により5例でmutantが誘導された。IFNベースの治療によりcoreI97L変異が誘導された症例がみられ、変異となった症例ではHBs抗原及びHBV DNAの減少が自然経過症例より大きかった。 腸内細菌叢に関しての検討では、糞便の検体が得られているHBeAg陰性B型肝炎患者72例において20名のFC達成患者と52のnonFC患者の腸内細菌を比較したところ、FC症例でCoprococcus属が有意に増加していた、更にFC症例とHBe抗原陰性慢性肝炎症例間での腸内細菌を比較したところBifodobacterium属、Coprococcus属がFC症例で有意に多くみられた。Bifodobacteriumは宿主の免疫応答に影響を与えること、Coprococcus属は酪酸産生菌として知られておりB型肝炎のFCに関連する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定したウイルス変異、免疫応答、腸内細菌叢、miRNAの解析ができるprospectiveな症例集積が完了した。またretrospectiveな症例でI97L変異とFCの関連を確認することIFN治療による免疫賦活作用でcoreI97L変異誘導例を同定できた。また、FC達成症例において、HBe抗原陰性慢性肝炎との間に腸内細細菌叢の違いがみられ、宿主の免疫応答と関連する可能性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
コア変異とFC及び腸内細菌との関連を比較すると同時に、コアの変異が起こる原因検索として免疫応答、miRNAの解析を行う予定である。 低ウイルス量の症例における変異に関しても測定できるよう検討を続けている。
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