研究課題/領域番号 |
20K08386
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松本 俊彦 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70634723)
|
研究分担者 |
藤澤 浩一 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00448284)
高見 太郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60511251)
山本 直樹 山口大学, 教育・学生支援機構, 教授 (90448283)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 間葉系幹細胞 / 肝線維化 / microRNA / 単球 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は肝移植に代わる肝硬変治療法として「自己骨髄間葉系幹細胞を用いた肝臓再生療法」を開発してきた。この治療法で用いる骨髄間葉系幹細胞は、エクソソームという小胞を分泌することで肝硬変を改善する可能性が報告されている。また、我々のこれまでの研究でmicroRNAという核酸により肝硬変の原因となる線維の産生を抑制できることが判明した。そこで、本研究では、線維産生抑制効果のあるmicroRNAを組み込んだ骨髄間葉系幹細胞のエクソソームを作製し、「長期継続型の低侵襲肝臓再生療法」の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
我々は肝移植に代わる肝硬変治療法として「自己骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いた肝臓再生療法」を開発してきた。臨床研究で有効性が示唆されたが、効果が短期間であることが課題であった。そこで本研究では、肝星細胞(HSC)が産生する主な線維(Collagen I, III, V, Elastin)の発現を網羅的に抑制するmiR-5682の効果をMSC由来exosome(MSC-Exo)に付加した抗線維化作用増強Exoを作製することを目的とした。 まず、SAGE法によるmiR-5682 mimic導入ヒトHSC・マウスHSCの網羅的遺伝子発現解析では共通してCol1a1, Col3a1, Col5a2 mRNAの発現低下を認め、Western blottingでCollagen I, III, V蛋白の発現低下を確認した。これよりmiR-5682の効果を肝線維化モデルマウスで評価可能であると判断した。続いて、Exo中のsmall RNA特異配列とmiR-5682を組み込んだlentivirus vectorを用いてヒトMSC細胞株に遺伝子導入を行い、Exo中にmiR-5682を高発現するMSCを作成した。しかし、miR-5682またはlentivirusによるMSC細胞株の増殖抑制が強く、以降の実験に不都合であると判断し、同様の手法を用いてmiR-5682導入ヒト単球細胞株を作製した。続いて、miR-5682導入単球細胞株Exoの添加によりヒトHSCに対する作用の評価を行い、用量依存性にHSCのCollagen I, III発現を低下させることを確認した。また、MSC-Exoとの併用添加により相加的にHSCの線維産生は抑制された。さらに、NASH肝線維化モデルマウスを作製し、miR-5682導入単球細胞株Exoを投与すると、非導入単球細胞株Exoと比較し、線維化の軽減が確認された。以上より、ExoはmiR-5682のDrug Delivery Systemとして有用であり、MSCを用いた肝線維化治療の補助療法となる可能性が示唆された。
|