研究課題
基盤研究(C)
本研究は非典型的肺動脈性肺高血圧症の病態を肺血管床や心臓における酸化ストレスや慢性炎症により惹起されるミトコンドリア機能異常症と捉え、分子レベルで収縮能が保持されている心不全(HFpEF)との相違を検討する。これまでにHFpEF患者の血中に同定したミトコンドリア機能異常を反映すると推測できる脂肪酸代謝関連因子(FABP1, FABP4, βヒドロキシ酪酸(bOHB)、FGF21, 遊離脂肪酸)がtypical~atypicalのスペクトラムをもつ肺高血圧症患者の病態や治療反応性を予測するかを解析するものである。
肺動脈性肺高血圧症における治療反応性の検討を行った。本邦では重症肺動脈性肺高血圧ではエポプロステノールを用いた高容量持続点滴治療を行うことが世界的にも特徴であるため、このことを踏まえて治療反応性とそれによる液性因子の治療前後での変化を検討した。またその治療によっていかなる合併症を発症しているかも併せて検討した。その結果液性因子に関しては治療導入を行った軽症ならびに中等症症例だけでなく重症例であろうとも治療介入によって順調に改善した。一方で重症例においては、初期に出血イベントを発症した症例は予後不良であった。治療介入により改善した症例においても多くの症例で内分泌疾患を発症することも報告した。
今回の研究では、肺動脈性肺高血圧症症例において初期に適切な診断を行い、その症例の持つ重症度を評価することで治療介入後適切に状態ならびに液性因子の値も改善することが判明した。一方、本邦で重症例に対して実施されることがあるエポプロステノール高容量持続点滴治療に関しては、初期に出血事象で予後不良となることも確認できた。また治療介入後の経過を追ったことによりその後、重症例の約1/3の症例にて内分泌疾患(甲状腺、下垂体疾患、膵疾患など)を発症し治療介入が必要なことも判明した。
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Eur Respir J.
巻: 25 号: 1 ページ: 2101694-2101694
10.1183/13993003.01694-2021