研究課題
基盤研究(C)
超高齢社会を迎えた日本において、老化による心機能低下・心不全は急増しており、医学的のみならず社会的にも大きな問題となっている。本研究では、低分子量Gタンパク質RhoAが加齢による心機能低下にどのように関連しているか、細胞レベルから動物モデル、患者サンプルまで幅広く解析することによって、その分子メカニズムの詳細を明らかにする。この研究成果は心不全の新たな治療戦略の開発に向けた基礎医学的基盤となる。
心臓老化に対して低分子量Gタンパク質の一つRhoAが心保護的に作用していることを、心筋特異的RhoAコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを作製して明らかにした。RhoAは心筋細胞内でパーキンの発現を促進し、心筋エネルギー代謝に重要なミトコンドリアの機能維持に関与していた。また、RhoA cKOマウスにアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を使って心筋でのパーキンの発現を補充すると心臓老化を抑制することができた。
学術的意義として、高齢者で増加している心機能低下、心不全に関する新たな分子メカニズムを解明することができた。心不全は現在でも5年生存率約50%という予後不良の病態であり、本研究の成果は超高齢社会の日本においてこの病態を克服するための治療法開発の基盤として活用できる。例えば、心筋RhoAの発現が低下している心不全患者に対して、AAVを用いて心筋へのRhoAあるいはパーキンの補充療法を開発していくことなどが考えられる。
すべて 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 4件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (3件) 産業財産権 (3件) (うち外国 1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 299 号: 3 ページ: 102993-102993
10.1016/j.jbc.2023.102993
Communications Biology
巻: 5 号: 1 ページ: 1071-1071
10.1038/s42003-022-04042-z
J Hum Lact
巻: - 号: 2 ページ: 315-324
10.1177/08903344221095784
International Heart Journal
巻: 62 号: 2 ページ: 390-395
10.1536/ihj.20-585
130008007468
Cancer Sci
巻: 112 号: 10 ページ: 4005-4012
10.1111/cas.15114
120007146544
J Biochem
巻: 170 号: 5 ページ: 577-585
10.1093/jb/mvab066
J Biol Chem
巻: 296 ページ: 100761-100761
10.1016/j.jbc.2021.100761
120007045058
Cancer Research
巻: - 号: 9 ページ: 2318-2331
10.1158/0008-5472.can-20-2331
生化学
巻: 92 号: 2 ページ: 216-220
10.14952/SEIKAGAKU.2020.920216
40022245242
FASEB Journal
巻: 34 号: 5 ページ: 6399-6417
10.1096/fj.201902991r
Cell Metabolism
巻: 32 号: 3 ページ: 404-404
10.1016/j.cmet.2020.06.020
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqbioch2/