研究課題/領域番号 |
20K08529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
魚津 桜子 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10293713)
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研究分担者 |
塚本 徹哉 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00236861)
近藤 征史 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00378077)
今泉 和良 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50362257)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺嚢胞 / 肺癌 / 嚢胞発生肺癌 / 肺気腫 / 慢性炎症 / DNAシークエンス法 / 嚢胞発生癌 / 発癌メカニズム / 網羅的DNA解析 / RNAシークエンス法 |
研究開始時の研究の概要 |
進行した肺気腫や肺線維症にみられる嚢胞性病変からときに生じる肺癌(嚢胞発生肺癌)は、炎症などの組織内の微小環境から癌が生じる貴重なモデルケースであると考えられる。本研究は、嚢胞発生肺癌の発癌メカニズムを解明することを目的として、嚢胞組織においてRNAシークエンス法によって網羅的な遺伝子発現解析を行い、癌誘発因子の探索・同定を行う。また、嚢胞から発生した腫瘍組織および腫瘍近傍の異型上皮組織のDNAシークエンス法によって網羅的な遺伝子変異解析を行い、嚢胞発生肺癌に特異的な原因遺伝子の同定を試みる。これらの成果により、慢性炎症性肺疾患の発癌リスク評価や早期発見、治療および予防への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
肺嚢胞から発生する肺癌の発生メカニズムを明らかにするために、初年度ではまず癌の発生母地となる嚢胞がいかなる組織学的特徴をもつかを整理し、嚢胞において発癌の誘因となりうる生体反応メカニズムの組織レベルの現象をとらえることを目標とした。嚢胞発生肺癌が好発する肺気腫において、当施設で生検により診断した嚢胞発生肺癌の症例において上記解析を行った結果、嚢胞発生肺癌は、背景となる肺気腫の進行度に関わらず観察され、肺気腫の組織病理を反映するとされるCT画像形態分類によっても一定の傾向を示さなかった。 また、嚢胞合併肺癌の大部分は、肺気腫の進行度に関わらず、最も嚢胞化の進行した、あるいは限局性に嚢胞化が高度進行した部位に生じ、嚢胞化の進行そのものが肺癌発生のリスク因子となる可能性が示唆された。 初年度における生検診断症例の解析をもとに、第2年度では、当施設で2018年~2019年に施行した肺癌の外科手術症例190例を対象に、嚢胞発生肺癌の症例を主に画像所見に拠って判別したところ、28例の嚢胞発生肺癌症例が同定された。この28症例を対象に、標本の組織切片における嚢胞組織および癌組織の同定を行い、組織DNA採取のためのマイクロダイセクションの手法確立を行った。その結果、遺伝子解析に適する標本調整および組織のマーキング方法、ダイセクションの条件等について、具体的手法が明らかになった。 第3年度である本年度は、28例個々の嚢胞発生肺癌症例に対し、同定した嚢胞組織および隣接する癌組織のマーキングおよび画像解析による識別を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
嚢胞発生肺癌の発癌メカニズムを明らかにするためには、嚢胞および発生癌に内在するゲノムDNAを組織特異的に分画採取し、比較することが重要である。したがって、嚢胞発生癌および発生母地の嚢胞に関する画像学的・組織学的特性の解析に、当初計画と比較しより重点をおいた。また、嚢胞癌に特異的な遺伝子の解析を行うためには、嚢胞組織、およびそこから発生した癌組織を選択的に分画採取すること、ならびに分画材料から遺伝子解析に足る質・量のゲノムDNAを安定的に抽出する必要がある。そのために、間質の非癌組織である嚢胞からのDNA採取方法の検討と条件設定に当初の計画より多くの期間を要した。また、個々の症例検体における嚢胞組織および腫瘍組織の分画採取には、予測以上の時間を要し、完了に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに、肺気腫を背景とし限局的に発達した嚢胞発生癌の個別症例に対し、嚢胞発生癌の画像上の特性および組織検体における形態的特徴を明らかにした。また、嚢胞発生癌のゲノム解析に適当な症例選択および各症例の検体調整、解析のためのゲノム採取方法の検討を行った。昨年度からは実際の外科摘除検体を対象に、①嚢胞発生癌の組織のマイクロダイセクションによる嚢胞成分および癌組織の選択的に採取、②DNAを抽出を手掛けている。本年度も同内容を継続する。選択採取した嚢胞部分および癌組織から各々DNAを抽出し、全DNAシークエンスを行う(1)。得られたシークエンスデータの比較によって、嚢胞上皮の癌化に関与する遺伝子変異を検出する。また、一般に、慢性炎症/線維化の組織からの癌の発生には、細胞増殖の亢進によるゲノム変異の誘発、炎症性代謝物質による細胞傷害、慢性の免疫活性化によるサイトカイン環境の変化、アポトーシスの抑制、が関与すると考えられている。そこで、(1)と並行して、上述のごとく選択的に採取した嚢胞組織の検体に対し全RNAシークエンス解析を行い、これら腫瘍誘発機序に関与する分子の発現を網羅的に解析する(2)。
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