研究課題/領域番号 |
20K08538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
門脇 麻衣子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (20401979)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 気道平滑筋細胞 / インターロイキン6 / デキサメサゾン / ニッケル / コバルト / ニッケル(Ni) / コバルト(Co) / 金属 / 職業性喘息 / サイトカイン / スロイド |
研究開始時の研究の概要 |
気道平滑筋細胞(ASMC)は細胞外からの刺激を受けて収縮するだけでなく、IL-6などを分泌し、炎症調節細胞の役割を有する。また、ASMCはCTGFなどの分泌を介して、肥大・増殖し、気道リモデリングに関与する。 ニッケル (Ni)、コバルト (Co)は、職業性喘息の原因となる代表的な金属であるが、本研究ではNi、Coがプロトン感知性受容体であるOGR1を介してASMCを刺激し、IL-8、IL-6、CTGF分泌を促進、難治性喘息に関与する好中球性炎症や気道リモデリングを惹起し、職業性喘息の発症に関わるという仮説を提唱する。併せてOGR1が好中球性気道炎症を制御する創薬のターゲットになる可能性を探る。
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研究実績の概要 |
金属刺激による、気管支喘息などの病態に深くかかわるヒト気道平滑筋細胞の反応について研究を行っている。金属刺激の金属の種類は、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)で刺激し、検討した。結果、Ni、Co刺激で有意にIL-6、IL-8の産生が上昇することを発見した。Ni、Coは職業性喘息の原因物質として知られている金属である。また、ステロイドが効かない難治性喘息の喀痰中に、IL-6、IL-8が上昇しているという報告もあり、治療法が限られている難治性の病態を解明することは有益だと考えられる。 Ni、Co刺激が酸を感知するレセプターのOGR1に働き、細胞内Ca濃度を上昇させること、シグナル伝達のERK1/2、p38MAPKを活性化することが分かった。また、難治性気管支喘息でみられる気道リモデリングの病態では気道平滑筋細胞の増生がみられるため、Ni、Co刺激での気道平滑筋細胞の増殖を検討したが、ヒト気道平滑筋細胞の細胞増殖はむしろ抑制された。デキサメサゾンの効果を調べたところ、デキサメサゾンはNi、CoによるIL-6産生亢進を抑制したが、シグナル伝達のERK1/2、p38MAPKの活性化は抑制されなかった。 この研究成果は、2019年度の日本呼吸器学会の総会、日本職業・環境アレルギー学会の総会、2020年度の日本呼吸器学会の総会で発表・ディスカッションし、さらに内容を深化して2021年12月に論文として発表した。その発表論文をもとに、2022年度の日本呼吸器学会の総会、日本アレルギー学会の総会、日本職業・環境アレルギー学会の総会で研究成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果を論文にして発表することができた。 他の因子についても検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
Ni、Co刺激でCTGFの産生が亢進し、ステロイドで産生亢進が抑制されないことを発見した。 同じ刺激でも、Ni、Co刺激の金属の種類の違い、反応して産生されるIL-6、IL-8、CTGFのなどの違いで、デキサメサゾンの反応が変わるのが分かった。なぜそのような違いが出るのかをHIF-1検討していく。 コバルトはHIF-1を誘導されることより、まずはHIF-1の関与する経路で検討している。
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