研究課題
基盤研究(C)
腎臓は血液を濾過して老廃物を除去する。この血液を濾過する働きの障害は、透析治療が必要な末期腎臓病の進行につながる。腎臓糸球体に存在するポドサイト(足細胞)は血液を濾過し蛋白尿の発生を防ぐ中心的な役割を持っている。我々は、ポドサイトの血液濾過の機能を維持するアクチン再構成機構を発見した。ダイナミンはアクチン線維の束化、脱束化をコントロールする。また、ダイナミンの変異はアクチン再構成の異常を引き起こす。しかし、その機序のほとんどが不明である。本研究は、ダイナミンによるアクチン線維束形成機構の実態を明らかにしポドサイトの血液濾過機構におけるダイナミンの役割を確定する。
腎臓で血液濾過に重要なポドサイトは、基底膜を介して毛細血管を包み血液濾過装置を構成している。そのため、ポドサイトの形態・機能の維持が蛋白尿の悪化を防ぐために重要であるが、その機構は不明である。我々は、ポドサイトに発現しているダイナミン1とダイナミン2タンパク質の機能に着目した。これまでに、両タンパク質ともにポドサイトの形態・機能維持に必須であることが示されているが、その分子メカニズムは不明である。本研究では、ダイナミン1が微小管、ダイナミン2がアクチン線維の束化と安定化に働き、ポドサイトの形態と機能を支えることを明らかにした。
腎臓糸球体ポドサイトは、血液を濾過し蛋白尿の発生を防ぐ中心的な役割を持っている。このため、ポドサイトの障害により血液濾過装置が破綻すると、透析治療が必要な慢性腎不全の進行に直結する。本研究では、ポドサイトの形態・機能の維持に重要なダイナミンによる微小管、アクチン線維束化機構の一端を明らかにできた。さらに、ダイナミンの活性化はポドサイトのアクチン細胞骨格の再構成のみならず接着能も促進することから、ポドサイトの保護や機能改善に働くダイナミンをターゲットとした創薬が大いに期待される。
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