研究課題/領域番号 |
20K08702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
原 孝彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 分野長 (80280949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | CXCL14 / TLR9 / CpG DNA / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌感染や癌発症時には、異常なDNAをマクロファージや樹状細胞のTLR9が検知し、PhagocytosisとT細胞の活性化を通じてそれらの拡大を阻止している。CXCL14は異常DNAと特異的に結合し、皮膚常在菌の過増殖とメラノーマ発症を防ぐ役割を果たしている。本研究では、CXCL14がどのような構造的特徴から異常DNAを見分け、どの受容体を用いて免疫細胞を活性化しているのかの解明を試みる。さらに、これがマクロファージの脂肪酸確保と関連しているかどうか検証する。本研究は、皮膚の免疫力増強法の開発、そして自然免疫と脂質代謝との関係解明へと発展すると期待される。
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研究成果の概要 |
皮膚のCXCL14量は日内変動しており、マウスでは昼間に高く夜間に低い。CXCL14は皮膚に常在する黄色ブドウ球菌のDNAと結合し、それを樹状細胞内へ運び込むことでTLR9経路を活性化した。菌の耳内増殖率は、昼間より夜間の方が高かった。従って、CXCL14は休眠期の皮膚で黄色ブドウ球菌が過増殖しないよう監視する役割を担っている。一方、CXCL14受容体の研究では、TLR9経路を負と正にそれぞれ調節する受容体AとCを同定した。A遺伝子KOマウスでは、同系melanomaの増殖率が低下していた。受容体Cは自発的に細胞内へ取り込まれ、CpG DNA/CXCL14と共にendosomeへ運ばれていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、皮膚で日内変動するCXCL14が黄色ブドウ球菌DNAと結合してTLR9を活性化することで菌の過増殖を防いでいることを証明した。概日リズムを示すケモカインはCXCL14が初めてであり、皮膚におけるケモカインの抗菌機能も初の発見である。ケモカインの非古典的な生理機能を証明したという点でも、非常に重要な学術的研究成果である。CXCL14受容体の解析については、まだ手掛かりを得たという段階にあるが、CpG DNA-CXCL14-TLR9経路の調節がとても複雑であることを予感させる結果である。研究継続によって、皮膚科学分野のみならず、癌や感染症に対する免疫学の発展にも貢献すると期待される。
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