研究課題/領域番号 |
20K08763
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
服部 豊 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (20189575)
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研究分担者 |
山田 健人 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60230463)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多発性骨髄腫 / 薬剤耐性 / 上皮間葉転換 / 天然物 / チロシンキナーゼ阻害 / ハイリスク多発性骨髄腫 / 上皮間葉系移行 / nucleophosmin (NPM)1 / ドラッグリポジショニング / exosome / drug resistance / 細胞接着仲介薬剤耐性(CAM-DR) / リプログラミング / 免疫組織学的検討 / TC11 / GTN057 |
研究開始時の研究の概要 |
多発性骨髄腫は、近年の新規治療薬を用いても救命し得ない症例が多く存在する。その原因は、治療抵抗性の獲得、髄外病変形成、免疫能の破綻といった悪性形質に起因する。本研究では、悪性化の決定因子は何かについて、レナリドミド抵抗性細胞や脱分化を来した細胞株を樹立して上皮間葉系移行(EMT)やリプログラミング、薬剤耐性に関わるエクソソームの解析等の観点からその分子機構に切り込む。いわゆるハイリスク骨髄腫では、このような悪性化をきたしやすく、天然物や既存薬ライブラリーから克服薬の開発を推進する。これまでに候補化合物が複数分離されており、その分子薬理機構の解明とバイオマーカーの開発を進める。
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研究成果の概要 |
骨髄腫の悪性形質に対して下記の知見を得た。①レナリドミド耐性細胞を樹立し、エクソソーム分泌およびインテグリン発現が薬剤耐性に関与する。髄外病変検体のRNA sequence解析からシグナル伝達を同定した。②新規フタルイミド体TC11は、チューブリン重合阻害とNPM1恒常的リン酸化によりmitotic catastropheを引き起こす。天然物コマロビキノン誘導体GTN057はチロシンキナーゼ阻害作用を有する。ドラッグリポジショニングによるオートファジー阻害薬の開発も行った。③患者検体の病理組織学的検討を行い、E-cadherin陰性化が髄外病変形成と予後不良のバイオマーカーになりうる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
骨髄腫が治癒困難であるかの問いに関し、治療抵抗性の獲得と髄外病変形成という具体的な臨床上の問題点を挙げて、その分子病態解明と克服を目指した創薬研究を展開してきた。その結果、悪性化を決定する分子群やEMT様現象やエクソソームといった新たな細胞機能を提示し、将来の克服薬としての新規候補化合物も複数同定することができた。このことは、造血器腫瘍である骨髄腫の病態解明に、新たな切り口を提案するものであり、その学術的独創性は高い。同時に、以上の成果は不治の造血器腫瘍とされる骨髄腫の予後推測や治療法決定に直結するものであり、患者の救済の観点からその社会的意義も高い。さらに他の癌腫にも応用できるものである。
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