研究課題
基盤研究(C)
全身性強皮症(SSc)の病態として血管障害→慢性炎症→線維化のプロセスが示されている。申請者はこれまでSScの病態プロセスをつなぐmajor playerとして単球マクロファージに着目し、患者検体やモデルマウスを用いてその役割を実証してきた。本研究では、これまでの成果から「継続的な心筋の虚血・再潅流傷害に対して骨髄から動員された心筋指向性単球が心筋にリクルートされ、線維化を促進することでSScに特徴的な心筋病変を形成する」という仮説をたて、in vitro/in vivo実験系を用いて検証する。本研究は学術的独自性が高く、その成果は心病変のバイオマーカー、新たな治療法の開発に資する。
全身性強皮症(SSc)に伴う心病変は予後不良因子だが、その詳細な病態は明らかでない。そこでSScに伴う心病変を有し、心内膜生検が実施されたSSc患者4例を対象に心筋残余試料をRNAシーケンスし、その遺伝子発現プロファイルを解析した。 (拡張型心筋症4例との比較で、SSc心筋では脂肪酸β酸化、クエン酸回路等の心筋エネルギー代謝に関連したパスウェイに活性化がみられ、上流制御因子としてNUPR1、IL-1βの活性化、微小管・細胞骨格の機能抑制が示唆された。各免疫細胞の割合の推計では、2群間で差はみられなかった。以上より、SSc心筋では拡張型心筋症とは異なる分子病態が存在する可能性が示唆された。
本研究はSSc患者心筋を用いた初めてのトランスクリプトーム解析である。症例数が少ない、対照が健常心筋ではなく拡張型心筋症患者の心筋であるなど制約があるものの、仮説なしの網羅的解析により病態と関連するパスウェイや上流制御因子が同定された学術的意義は大きい。本研究成果は難治性病態の解明に役立つとともに、新たに同定された治療標的に対する新規治療薬の開発につながる可能性を秘めている。
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