研究課題/領域番号 |
20K08823
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
津々木 博康 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (40586608)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細菌毒素 / 腸管出血性大腸菌 / レドックス / 小胞体ストレス / Subtilase cytotoxin |
研究開始時の研究の概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC)が産生するSubtilase cytotoxin(SubAB)は、AサブユニットとBサブユニットから構成されるAB型毒素であり、EHECの重要な病原因子と考えられている。応募者は、SubABが宿主細胞に侵入し、標的分子である小胞体のBiPを切断する過程において酸化還元(レドックス)調節による活性化を受けていることを見出した。SubABはAサブユニットにジスルフィド結合をもつことが報告されており、宿主レドックス関連分子による調節がSubABの毒性に関わることが示唆される。本研究では、宿主レドックス関連分子の同定と阻害剤の探索、マウス感染モデルを用いた治療評価を行う。
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研究成果の概要 |
Subtilase cytotoxin(SubAB)は、腸管出血性大腸菌が産生する毒素であり、宿主小胞体シャペロン蛋白質であるBiPを切断することで小胞体ストレス性の細胞毒性を示す。本研究では、SubABの毒性発現に関わる宿主の酸化還元(レドックス)調節因子の探索とその機序を調べ、複数の宿主レドックス因子がSubABのBiP切断に関わることを見出した。またそれらの因子を標的としたSubABの制御法を調べ、生体防御因子である一酸化窒素が阻害効果を示すことが分かった。本研究は、SubABが小胞体に到達しBiPを切断する過程を阻害できる新たなレドックス制御戦略の開発に繋がることが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本でSubAB産生EHECによる集団食中毒が起こった場合、重症化を防ぐ対策は整っていない。SubABの毒性発現機序、Stxとの相互作用や合併症(溶血性尿毒症症候群)との関連、感染病態におけるSubABの役割は不明な点が多い。一般に、EHEC感染症では、抗生剤を用いると溶菌し、菌体から大量の毒素が漏出し病態が悪化することが懸念されるため、その使用は推奨されていない。解決策として、抗生剤と併用できる毒素の阻害剤の開発が有効であると考えられる。本研究はSubABを阻害する薬剤の開発という革新的な治療戦略の構築に繋がる点で学術的的および社会的意義をもつ。
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