研究課題/領域番号 |
20K08843
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柳原 克紀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40315239)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺炎桿菌 / マイクロバイオーム / 腸内細菌科細菌 / dysbiosis / 薬剤耐性菌 / ESBL / ESBL産生細菌 / ST131 / 接合伝達実験 / ESBL産生菌 / ESBL産生腸内細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸菌や肺炎桿菌に代表されるグラム陰性腸内細菌科細菌は、重篤な感染症を引き起こす。近年、薬剤耐性菌は増加傾向であり、特に、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(extended-spectrum β- lactamase:ESBL)産生菌は大きな問題となっている。ESBL産生腸内細菌は、2000年以降急速に増加し、様々な感染対策を講じても効果が認められないため、従来とは異なる新しい感染制御法が必要と考えられる。薬剤耐性菌の定着や排除において腸内細菌叢は大きな役割を果たす。 本研究の目的は、①ESBLが定着しにくい腸内細菌叢を明らかにし、②腸内環境整備に基づく新たな感染制御法を確立することである。
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研究実績の概要 |
ESBL産生菌の代表的な菌種である肺炎桿菌の病態を解析するために分子疫学的解析を実施した。本研究では血液培養から分離された肺炎桿菌を対象にした。高病原性肺炎桿菌(hypervirulent Klebsiella pneumoniae, hvKp)のマーカーであるrmpAの検出や莢膜血清型の決定、MLSTによる菌のタイピングを行った。対象となった268株のうちrmpA陽性株は36株(13.4%)であった。rmpA陽性株では陰性株と比較して、他の病原因子の保有率や、血清型K1、K2である割合が有意に高い結果となった。MLSTではrmpA陽性36株のうちST23/K1が最も多く、次いでST86/K2であった。一方、ST412、ST268を多く認めた。rmpAやほかの遺伝子は予後を予測する因子にはならなかった。発症や重症化に寄与する遺伝子マーカーの特定には、従来の遺伝子解析では限界があり、より詳細な解析が必要と考えられた。(Kikuchi S, Yanagihara K, et al, Sci. Rep. 2023 )マウスの腸内環境を抗菌薬で前処理することで細菌叢が攪乱した“dysbiosis”(腸内細菌叢を構成する細菌種や細菌数が減少することにより、細菌叢の多様性が低下した状態)を誘導し、臨床分離ESBL産生菌を定着させる。マイクロバイオームの構成変化がESBL-E.coliのクリアランスにも影響を与える。腸内細菌叢の一部の構成細菌群がESBL-E.coliの定着抵抗性に関与していることが示唆された。これらの結果はマイクロバイオームを活用した耐性菌の定着抑止が有用であることを示した。これからは、マイクロバイオームを活用した予防戦略が必要になるものと考えられた。
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