研究課題/領域番号 |
20K08997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
大島 貴 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長 (10448665)
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研究分担者 |
篠原 尚 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70319549)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 手術支援システム / 内視鏡外科手術 / 人工知能 / 内視鏡手術 / 止血支援システム |
研究開始時の研究の概要 |
内視鏡手術が,開腹手術と比較してより問題となるのは出血である。出血は周囲組織を赤く染めることで,解剖構造の認識を著しく低下させて,正確,安全かつ迅速な内視鏡手術の進行を妨げる。さらに,出血量が多くなると、開腹手術への移行が必要となるばかりでなく,術後合併症の増加を招き,長期生存を低下させることが知られている。そこでわれわれは, AIを用いて内視鏡外科手術における出血を自動認識し,外科医が必要とする出血情報を選別,出血したシーンの動画を腹腔鏡のモニターと同一のモニター上で自動逆再生して,止血操作を正確かつ迅速に行う止血支援システムの開発を行い,動物実験による検証を経て,臨床での実用化を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、出血をAIモデルが自動認識し、リピート再生する止血支援システムを開発し、実証試験を行った。Olympus社のVisera Eliteから得られた教師画像を学習させることで、AIモデルを作成して止血支援システムに組み込み、Intuitive Surgical社のDavinciの映像を用いて、実証実験を行った。 その結果、AI推論解析速度は30frame/sec以上であり、出血シーンを自動認識出来、リピート再生も可能で、現場の外科医からは高評価を受けた。しかし、出血検出の精度不良も一部で認められた。原因としては、出血の過大・過小検知から、出血シーンの自動認識が想定通り機能していないことがわかった。また、各社手術内視鏡システムごとに精度が変動することがわかった。 そこで、各社のシステムから教師画像を作成し、学習モデルを再構築した。さらに、教師画像を段階的に増加させ、各段階で評価した。評価画像は、Olympus社VE1、VE2、Intuitive Surgical社のDXi、Stryker社の1488HDから得られた手術画像を元から抽出した未学習の画像を用い、医師が出血した領域をアノテーションした画像を正解画像とした。正解画像とAI推論画像を比較しピクセル単位の一致率を求め、評価指標は医用画像の領域で頻用されるDice係数を用いた。 2022.8月にVE1の学習データを用いて評価を行い、OVE1とDXiのDice係数は、それぞれ0.855, 0.477であった。2022.11月にDXiの画像を200枚追加すると、0.526に上昇し、2023.3月にさらに200枚追加すると、0.567に上昇した。OVE2や1488HDは、学習データが少ないにもかかわらず、それぞれ0.616, 0.702と比較的高値であった。 今後は、Dice係数:0.8以上を目標として学習を進める。
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