研究課題/領域番号 |
20K09053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
春宮 覚 信州大学, 医学部, 特任准教授 (50301792)
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研究分担者 |
中山 淳 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10221459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 胃癌 / 糖鎖 / 糖転移酵素 / 遺伝子改変マウス |
研究開始時の研究の概要 |
胃腺粘液には末端にα1,4結合型N-アセチルグルコサミン(αGlcNAc)を含む特徴的な糖鎖を有する糖蛋白質が存在する。我々はαGlcNAcを欠損したA4gntノックアウト(KO)マウスを作出し、このマウスでは胃分化型癌が自然発症することを発見したが、その詳細な分子機構は解明されていない。最近、このKOマウス胃粘膜において癌関連シグナルが活性化されていること、またαGlcNAcがgp130-STAT3経路を介する発癌シグナルを抑制することで癌の発症を防御している可能性が見出された。本研究ではこのKOマウスにおける胃癌発生機構を解明し、その成果を胃癌の予防・治療に還元することを目指す。
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研究成果の概要 |
A4gntノックアウト(KO)マウスの胃癌発生機構を明らかにするため、IL-11シグナルの活性化制御について検討した。A4gnt KOマウス胃粘膜ではJAK2―STAT3経路の活性化とgp130の発現亢進が確認された。野生型マウス胃粘膜とAGS細胞を使用した解析からαGlcNAcがIL-11受容体およびgp130に結合することによりIL-11/IL-11受容体/gp130複合体が形成されず、STAT3の活性化を抑制していることが示唆された。これらの結果からA4gnt KOマウスではIL-11―JAK2―STAT3経路の活性が亢進することにより、胃癌が自然発生する可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
αGlcNAcの欠損による胃分化型癌の発生機構として、発癌シグナルであるIL-11―JAK2―STAT3経路が活性化されることを明らかにした。たった1つの糖の欠損という僅かな変化が原因で胃に生じる顕著な表現型が癌関連シグナルの活性化によるという事実は、糖鎖病理学領域における新知見であり、学術的意義がある。また、これらの結果からαGlcNAcによる癌関連シグナルの抑制は、新たな胃癌の予防、治療法開発への研究基盤になることが期待できる。
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