研究課題/領域番号 |
20K09164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡崎 幹生 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50467750)
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研究分担者 |
大谷 真二 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (10770779)
山根 正修 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (20432643)
坂上 倫久 愛媛大学, 医学系研究科, 講師(特定教員) (20709266)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 講師 (40467733)
木下 理恵 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40518297)
杉本 誠一郎 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40570148)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 肺移植 / 虚血再灌流障害 / S100 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、経時的かつ網羅的遺伝子発現解析から、肺虚血再灌流障害後に最も早期に過剰発現する遺伝子としてS100A8/A9を見出した。S100A8/A9は、多様な炎症反応の引き金となるため、肺虚血再灌流障害の治療のターゲットとして有望である。本研究では、申請者らが開発したS100A8/A9を標的とした中和抗体を用いて、マウス肺移植モデルにおける肺虚血再灌流障害の抑制効果を検証し、臨床応用に向けたProof of Conceptを確立することを目的とする。A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害抑制効果の作用機序とともに、中和抗体の最も高い治療効果を示す条件を明らかにする。
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研究実績の概要 |
重症肺疾患に対して、肺移植手術が唯一残された治療法となることがあるが、一時的な虚血と血液の再灌流により炎症が生じる虚血再灌流障害は依然として肺移植時の大きな問題点である。肺移植後の移植肺の機能不全は虚血再灌流障害によるものがほとんどで、基礎研究による肺虚血再灌流障害の分子メカニズムの解明や革新的治療薬が開発できると、肺移植による治療成績が格段に向上する。最近申請者らは、経時的かつ網羅的遺伝子発現解析から、肺虚血再灌流後に最も早期に過剰発現する遺伝子としてS100A8/A9を見出した。S100A8/A9は、多様な炎症反応の引き金となるためIRIの治療のターゲットとして極めて有望である。本研究では、申請者らが開発したS100A8/A9を標的とした中和抗体を用いて、肺虚血再灌流障害の抑制効果を検証し、臨床応用に向けたProof of Conceptを確立することを目的とする。 マウス肺虚血再灌流障害モデルでS100A8/A9中和抗体の効果を検証した。抗体を投与した30分後に左肺を60分クランプし(虚血)、再灌流後120分に評価し、Control群と比較・検討した。虚血再灌流障害群(IgG Control群)はSham群と比較して、有意にPaO2が低下していた。それに対して、S100A8/A9中和抗体投与群ではControl群と比較して、優位にPaO2が改善していた。病理組織学的にもS100A8/A9中和抗体群では、Control群と比較して、虚血再灌流障害に伴う炎症細胞浸潤が有意に抑制されていた。またTUNEL染色でも、S100A8/A9中和抗体群では、Control群と比較して有意にアポトーシスが抑制されていた。さらに、PCRでは炎症性サイトカインがS100A8/A9中和抗体によって抑制されていた。S100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害抑制効果を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
経時的かつ網羅的遺伝子発現解析から、肺虚血再灌流後に最も早期に過剰発現する遺伝子としてS100A8/A9を見出していた。S100A8/A9は、多様な炎症反応の引き金となるためIRIの治療のターゲットとして極めて有望であると考えた。本研究では、S100A8/A9を標的とした中和抗体を用いて、肺虚血再灌流障害の抑制効果を検証し、臨床応用に向けたProof of Conceptを確立することを目的としていた。マウス肺虚血再灌流障害モデルでS100A8/A9中和抗体の効果を検証した。抗体を投与した30分後に左肺を60分クランプし(虚血)、再灌流後120分に評価し、Control群と比較・検討した。S100A8/A9中和抗体群のほうが再灌流後のPaO2が有意に良好であり、S100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害抑制効果がみられ ることがわかった。病理組織学的にもS100A8/A9中和抗体によって、虚血再灌流障害に伴う炎症細胞浸潤が抑制されていた。また、S100A8/A9中和抗体によって虚血再灌流障害に伴うアポトーシスも抑制されていた。S100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害の抑制効果の検証が行えているが、ノックアウトマウスでの検証がまだであり、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初想定した通り、S100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害の抑制効果が明らかとなってきており、研究を推進していく。今後はさらにS100A8/A9中和抗体による肺虚血再灌流障害の抑制効果を検証していく。炎症性サイトカイン、ケモカイン、MAPKsの発現レベルをPCR法、ウェスタンブロッティング法で解析し、虚血再灌流障害を定量的に評価する。S100A8/A9/RAGE/TLR4シグナルによって産生される遺伝子転写翻訳産物についての蛍光免疫染色を、Control群と治療群で比較・検討することで、S100A8/A9中和抗体の作用機序についても併せて解明していく。また、ノックアウトマウスも用いて検証をすすめる。
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