研究課題/領域番号 |
20K09190
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 伸子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80332609)
|
研究分担者 |
星野 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80920503)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 脂質 / 疼痛学 / 神経科学 |
研究開始時の研究の概要 |
外傷などの急性疼痛に細胞膜構成する脂質リゾホスファチジン酸(LPA)がどのように関与しているのか解明する。LPAは既に神経損傷時に髄液中で増加し、慢性疼痛のメカニズムに大きく関与していることが分かっている。組織障害早期にLPAがどこで産生され、どの受容体を介し、末梢組織レベル・神経節レベル・脊髄レベルでどのような変化をもたらすのか解明する。それらを適切な時期に抑制することにより疼痛遷延化を阻止し、効果的な治療法を開発する。
|
研究成果の概要 |
細胞膜構成脂質であるリゾホスファチジン酸(LPA)がどのように急性疼痛や脊柱管狭窄症による疼痛に関与しているのか解析した。神経根圧迫による脊柱管狭窄症モデルを用い、LPA合成酵素オートタキシン(ATX)の阻害剤について効果を検証した。ATX阻害薬投与により有意な疼痛抑制効果と脊髄グリア細胞活性化減弱が認められた。急性組織障害性疼痛に対するLPA受容体シグナル関与についても研究を進めた。LPA受容体拮抗薬前投与により、有意な自発的疼痛行動の減弱と後根神経節衛星グリア細胞活性化減弱が認められ、LPA受容体が急性疼痛メカニズムにも関与していることがわかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
坐骨神経損傷による神経障害性疼痛モデルではなく、よりヒト病態に近い神経根型脊柱管狭窄症モデルを用いて、LPA産生酵素ATX阻害による鎮痛効果を検証できた。ATX阻害により髄液中のLPAは顕著に減少しており、脊髄神経周囲でのLPA産生が疼痛病態に強く関わっていることと、新規治療薬としての可能性が示された。急性疼痛モデルでLPA受容体拮抗薬が疼痛抑制効果を示したことは、副作用の多い非ステロイド性鎮痛薬以外の鎮痛薬としての可能性が示された。また急性疼痛時にも後根神経節でLPA/LPC上昇が検出され、衛星グリア細胞の変化が認められたことから、衛星グリア細胞をターゲットとした疼痛制御の重要性がわかった。
|