研究課題/領域番号 |
20K09192
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小口 健史 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60201399)
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研究分担者 |
中楯 陽介 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50597002)
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | フラボノイド / PI3K/Akt経路 / 心筋虚血 |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤の中には心筋虚血前に投与することで虚血心筋障害に対して保護作用を示すものがあり、薬理学的プレコンディショニング効果と呼ばれ、PI3K/Akt経路がこの効果に関連しているとされる。一方、フラボノイドの1つであるミリセチンも、PI3K/Akt経路を介して脳梗塞障害を軽減することが最近報告された。これらの背景から、フラボノイドにも薬理学的プレコンディショニング効果があることが予測されるため、本研究の着想に至った。 自然に存在して消化管から吸収されるフラボノイドの心筋虚血保護作用が解明されれば、心臓外科手術や虚血性心疾患を合併した患者の麻酔管理において新たな心筋保護戦略になることが期待される。
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研究実績の概要 |
心臓における虚血-再灌流障害にはPI3K/Akt 経路が関与しているとされる。一方、一部のフラボノイドには、PI3K/Akt経路への作用が報告されている。また、一部のフラボノイドは脳梗塞障害を軽減することが報告された。本研究では、フラボノイドとその代謝物の心筋虚血-再灌流障害に対する保護効果と作用機序を解明することを目的とした。 令和4年度は、令和3年度から引き続きフラボノイドの一つであるダイゼインの代謝物質であるS-エクオール(1 μmol/L)の心筋虚血に対するプレコンディショニング効果について心機能の回復面から検討を行い、合わせて機序の解明も進めた。ペントバルビタール麻酔下にラットから心臓を摘出して、大動脈・肺静脈・肺動脈カニュレーションを行いLangendorff法にて灌流を行い、肺静脈から左心室内にバルーンカテーテルを挿入して左心室圧(LVP)を測定した。LVPから左室dP/dt maxを求めて、心収縮能の指標とした。肺動脈から流出する冠灌流液を経時的に採取して冠流量とした。上記のラット摘出心臓モデルにおいて、Non-flow ischemiaによる虚血再灌流実験を行い、対照群とエクオール投与群の間で虚血再灌流時の心機能の回復を比較検討した。 この結果、エクオールを虚血前から投与すると、対照群と比較して虚血再灌流時の心機能の回復が促進することが示された。また、機序に関しては、PI3K経路の関与を示す結果が得られ始めている。もし、自然に存在して消化管から吸収されるフラボノイドの生体内代謝物の心筋虚血保護作用が証明できれば、心臓外科手術や虚血性心疾患を合併した患者の麻酔管理において新たな心筋保護戦略になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フラボノイドの代謝産物であるエクオールの心筋プレコンディショニング効果を示す結果が得られ、本研究の目的であるフラボノイドの心筋保護作用を解明でき、3年目の研究として進展が認められた。しかし、研究者のその他の業務の多忙と、機序の解明に想定以上の時間を要したことから、次年度までの期間延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
PI3K経路の阻害薬であるWortmanninによりエクオールの心筋保護作用が抑制されるか、また心筋内pAktを測定することにより、エクオールの心筋プレコンディショニング効果にPI3K/Akt経路が関わっているか研究を進めていく予定である。
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