研究課題/領域番号 |
20K09207
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高橋 由香里 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20613764)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 扁桃体 / 腕傍核 / 活動依存的分子発現 / 痛みの慢性化 / シナプス可塑性 / 痛みネットワーク / 痛み情動 / 中脳水道周囲灰白質 |
研究開始時の研究の概要 |
近年開発されたFos-TRAP法(活性化細胞集団標的遺伝子組換え法)を用い、「痛み活性化ニューロン」、「痛み特異的シナプス」の特異的・選択的な刺激・抑制の影響を解析することで、慢性痛の脳内メカニズムをニューロン・シナプス・ネットワークの水準で明らかにする。痛みの慢性化進行における時間限局的な分子発現コントロール、光遺伝学・化学遺伝学的神経活動操作、および、形態学的・電気生理学的解析を組み合せる多面的アプローチにより、痛み活性化ニューロン、および、痛みネットワークの可塑的変化機構の詳細を解明する。
|
研究成果の概要 |
非器質性に維持される慢性痛の本態である痛みの脳内可塑的変化の機構の解明を目指し、特定の状態で活動したニューロンのみに人工機能分子を発現させる実験手法「Fos-TRAP法」を導入することにより、多様な機能を担うニューロンの中から痛みで活性化したニューロンを機能特異的に標識・操作・解析した。炎症性侵害刺激で活性化される痛み上行路、腕傍核-扁桃体中心核経路において、痛み活性化ニューロン同士の腕傍核-扁桃体中心核興奮性シナプスは、非特異的腕傍核-痛み活性化扁桃体中心核ニューロン間のシナプスに比べて強い機能的結合を示す事実を見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年開発・実用化されてきた神経活動依存的特異的分子発現法を駆使し、痛みによって活性化するニューロン・シナプス伝達(これらを「痛み活性化ニューロン」、「痛み特異的シナプス」、と呼ぶ)のみを抽出し、解析することで、神経核同士の結合をまとめて解析する従来の手法では見出しえなかった機能特異的シナプス結合の特徴を明らかにしたことは学術的に新規性が高く、意義がある。また、近年提唱された、痛覚変調性疼痛の背景に、本研究で明らかにしたような痛み特異的シナプス伝達の可塑的変化が関与する可能性が示唆され、さらにメカニズム解明を継続することで中枢性の痛みの治療法開発に大きく寄与する知見が得られることが期待される。
|