研究課題/領域番号 |
20K09295
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
末吉 孝一郎 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90648297)
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研究分担者 |
田中 裕 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (90252676)
岡本 健 順天堂大学, 医学部, 教授 (40347076)
近藤 豊 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90642091)
平野 洋平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70621895)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 敗血症 / アデノシン三リン酸 / 免疫抑制 / 単球 / CD4陽性T細胞 / 免役抑制 / CD4+T細胞 / T細胞 / ATP / 免疫細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症は感染により惹起される全身の炎症であり、多臓器不全をひきおこす重篤な病態として高齢者を中心に多々見受けられ、その死亡率は約30%と予後不良である。多臓器不全の原因は、好中球の過剰な活性化による臓器障害と考えられていたが、近年、『免疫過剰と免疫不全が共存』するという新たな概念が提唱されてきた。この免疫状態を評価できれば、適切な免疫状態に調整することで多臓器不全を予防し、原疾患治療でしか対応できなかった敗血症の治療にも役立つ。ATP蛍光イメージング軸とした独自の評価方法を基盤として、多臓器不全の機序解明、敗血症の新治療法開発へ繋げることが本研究の全体構想である。
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研究成果の概要 |
敗血症患者16名のPBMC(末梢血単核細胞)を分離し単球、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の細胞膜表面ATPをPMAP-1(細胞膜表面ATP特異的蛍光プローブ)を用いて染色しフローサイトメトリーにて蛍光強度を測定した。敗血症患者では健常人に比較し細胞膜表面ATPは単球、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のいずれにおいても有意に上昇していた。単球上のHLA-DRおよびPD-L1の発現は有意に低下しており単球の抗原提示能が低下し、免疫抑制が起こっていることが示唆された。CD4+T細胞のIL-2産生能が有意に低下しており免疫抑制状態にあることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
敗血症は予後不良な病態であり、いまだその病態は明らかでないが、免疫細胞の機能低下により引き起こされる免疫抑制が主病態であると考えられている。研究代表者らは本研究に先立ち、LPSを用いた基礎実験を通して単球が細胞外に放出するATPがCD4+ T細胞の細胞膜表面のP2Y11受容体に作用し、その機能低下を惹起するということを示した。本研究では敗血症患者の血液を用いて、先行研究の結果が妥当であることを示すことができた。in vitroの結果をin vivoで証明することにより単球が放出する細胞外ATPが免疫抑制の原因であることが示唆されたため、敗血症の治療戦略のターゲットとなり得る。
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