研究課題/領域番号 |
20K09332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
草鹿 元 自治医科大学, 医学部, 教授 (00265258)
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研究分担者 |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 教授 (20311938)
金澤 丈治 自治医科大学, 医学部, 教授 (20336374)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / 悪性神経膠腫 / DNAメチル化 / 遺伝子導入 / 膠芽腫 / 遺伝子治療 / 癌抑制遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は, Ten-eleven translocation methylcytosine dioxygenase (TET) 2 を治療遺伝子とする膠芽腫への新規遺伝子治療の基礎研究である.膠芽腫は多くの癌抑制遺伝子が不活化されており予後は不良である.これら複数の遺伝子の不活化はDNAメチル化によって引き起こされるが,それを標的とした新たな治療戦略の開発が望まれる.TET2は脱メチル化酵素でありメチル化で不活化した複数の癌抑制遺伝子を同時に活性化できるため膠芽腫治療に適した治療遺伝子である.TET2遺伝子による遺伝子治療の開発は新たな膠芽腫治療の進歩に大きく寄与するものと思われる.
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研究実績の概要 |
本研究は, Ten-eleven translocation methylcytosine dioxygenase 2 (TET2)を治療遺伝子とする悪性神経膠腫(膠芽腫)への新規遺伝子治療の基礎研究である.申請者らはこれまで, 癌抑制遺伝子に関する研究からDNAメチル化による癌抑制遺伝子の不活化が膠芽腫の発症に関わると考えている.膠芽腫の標準治療は既に確立されているが,その予後は不良であり,新たな治療戦略の開発が望まれる.膠芽腫は多くの癌抑制遺伝子が不活化されており,効果的な分子標的治療には同時に多数の癌抑制遺伝子を活性化する必要がある.TET2は脱メチル化酵素でありメチル化で不活化した複数の癌抑制遺伝子を同時に活性化できるため膠芽腫治療に適した治療遺伝子である.TET2遺伝子による遺伝子治療の開発は新たな膠芽腫治療の進歩に大きく寄与するものと思われる.このTET2を治療遺伝子とする膠芽腫に対する遺伝子治療の有用性を明らかにすることが今回の研究の目標である.具体的には以下の点を明らかにすることを目的として研究を行ってきた.1. 膠芽腫におけるTET2の意義を確認するために膠芽腫細胞でのTET2遺伝子発現と5hmC量を測定すること.2. TET2低発現細胞にTET2を遺伝子導入し,TET2高発現細胞株を作成すること.3. その細胞に対して次世代シークエンサーを用い親細胞と遺伝子挿入細胞のメチル化パターンの違いについて解析すること.4. これによりTET2遺伝子導入の過程で遺伝子全体のメチル化度の変化とmRNAの変化を確認すること.5.GALR1, GALR2, COL1A2, TAC1, SSTRなどの数種の癌抑制遺伝子については作用の再活性化を検討すること.このようにして新たな膠芽腫遺伝子治療開発の基礎とする予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
悪性神経膠腫細胞への遺伝子導入効率が低く不安定であるため細胞ごとの蛋白発現の強度にばらつきがある.再現性を確実にするため遺伝子導入法を再検討していることに加え,コロナウイルス感染症の影響で研究が遅延した.また,5hmC量をの定量化測定にも時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中のTET2の発現によりG蛋白共役受容体がが再活性化されたことを確認するためのプロモーター領域のバイサルファイトシーケンス法解析を更に継続す る予定である.機能の回復は,TET2導入による情報伝達系が,通常のG蛋白共役受容体の情報伝達系と同様であるかを確認する.以前の強制発現の実験系で確認 した細胞周期停止作用やアポトーシス誘導作用がいくつかのG蛋白共役受容体で再現できるかが最も注目すべき点であると考えている.
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