研究課題
基盤研究(C)
我々は既に開発している灌流型共培養in vitro 血液脳関門(BBB)モデルを利用し、各種中神経系病態モデルを作製、細胞間相互作用を検討する。更にドラッグリポジショニングの観点から現在臨床の現場で使用されている薬剤がBBBに与える影響及びその作用機序の解明を行う。このメカニズムを解明することにより中枢神経疾患治療薬の開発、ひいては全く新しい創薬概念である「BBB保護薬」の開発につなげたいと考えている。
灌流型3次元血液脳関門モデルの開発においては、内皮細胞、ペリサイト及びアストロサイトを培養した上で灌流することに成功した。不死化ヒト細胞、ラット 初代培養細胞、ヒト初代培養全てにおいて、モデル内に細胞を生着、培養できることを確認した。また、本研究過程において、①霊長類(サル)の初代培養細胞 のみで構成された共培養モデルの特徴、②造影剤による血液脳関門破壊について脳血管内皮細胞内のMAP Kinase pathwaysの関与、③脂質異常症治療薬である pitavastatinが炎症刺激による血液脳関門破壊に拮抗的に働くこと、④Rho kinase阻害薬が血液脳関門保護に働くことについて、見出し、それぞれの知見を英文学術誌において報告した。さらに、本研究過程で得た知見を踏まえ、総説’Beyond Lipid-Lowering: Effects of Statins on Cardiovascular and Cerebrovascular Diseases and Cancer’を執筆し、スタチンの多面的作用及び心血管、脳血管及び癌に与える影響をまとめ、発表した。本研究及び付随する成果を国内外の学会、研究会で発表するだけでなく、2023年3月には、5th Mini-symposium on the Blood-Brain Barrier: from Basic to Clinical Researchを主催し、世界各国の研究者との意見交換し、今後の研究の方向性も討議した。本研究課題の根幹であるドラッグリポジショニングに関しては、候補薬剤の選定を終え、実験を開始している。
3: やや遅れている
灌流型3次元血液脳関門モデルの開発は順調に進んでおり、十分に実用可能な段階に到達している。しかし、実験で使用する薬剤及び細胞がCOVID-19の影響で一 部調達できなかったため、一部の実験が施行できなかった。代替として、2次元モデルを使用し、薬剤が血液脳関門に与える影響を検討、解析した。今後は3次元モデルを使用し、2次元モデルで得られた結果との比較を行っていく予定である。
我々のもつ血液脳関門における初代培養細胞を使用した血液脳関門モデルの技術と米国ワシントン大学、ハンガリー科学アカデミーの学際的ネットワークを融合させることで、研究を飛躍的に発展させていく。
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すべて 国際共同研究 (9件) 雑誌論文 (31件) (うち国際共著 8件、 査読あり 31件、 オープンアクセス 28件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 7件、 招待講演 6件) 図書 (4件) 学会・シンポジウム開催 (2件)
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