研究課題
基盤研究(C)
本研究では受傷早期の軟骨細胞死に着目し、関節外傷後に軟骨が傷むメカニズムを詳しく調査する。また、細胞死を抑制する化合物を動物の関節内へ投与することで、軟骨細胞死を抑制しその効果を検討する。軟骨細胞死を抑制することで、軟骨損傷から二次性変形性関節症への進行が抑制できれば、現在では不可能である関節軟骨の病状の進行の抑制になり、整形外科治療における大きな進歩である。
大腿骨・脛骨間に繰り返しストレスを加えるCyclic compressionモデルによる軟骨損傷モデルを、ラットを用いて新規作成した。このモデルは外傷性軟骨損傷から変形性関節症へと至るモデルであることを確認した。Cyclic compression前から細胞死抑制効果のある新規化合物であるKUS121を投与したところ、軟骨保護効果が確認された。軟骨保護効果の機序として、小胞対ストレス応答の軽減による、軟骨細胞死抑制効果が確認された。軟骨細胞死抑制のメカニズムとして、小胞体ストレス応答の軽減を通したMAP-kinaseカスケード、蛋白分解酵素の抑制が確認された。
変形性関節症は対症療法と、末期での人工膝関節置換術以外に根本的な治療法がない疾患であるが、今回効果が確認されたKUS化合物による小胞体ストレス抑制による軟骨細胞死抑制効果と、それに伴う蛋白分解酵素抑制効果は、変形性関節症における軟骨保護作用を持つ可能性がある。特に外傷性の関節症では、この化合物を受傷早期に投与することにより、将来起こると考えられる軟骨損傷とその後の変形性関節症への進展を防ぐ効果が期待される。軟骨損傷と変形性関節症に対する新たな治療法となる可能性が示唆されたと考える。
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