研究課題/領域番号 |
20K09463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
射場 浩介 札幌医科大学, 医学部, 特任教授 (60363686)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 運動器疼痛 / 骨粗鬆症 / 組織損傷 / 難治性疼痛 / 軟部組織損傷 / 運動器 / 骨代謝異常 / 四肢 / 外傷 |
研究開始時の研究の概要 |
外傷に対する安静・外固定後や手術後に認める疼痛を伴う患肢の著しい骨粗鬆化は、術後のADL改善と早期社会復帰の観点から大きな障害となる。しかし、このような病態に対する運動負荷や局所刺激によるリハビリテーションや、疼痛緩和を目的とした薬物療法では効果が不十分であり、病態が完成してからの治療の有効性は乏しいのが現状である。一方、外傷や手術により損傷組織から発現が増強した疼痛関連分子が患肢の骨粗鬆化を誘発するという新しい考え方に基づき、これらの疼痛関連分子の作用を抑制して患肢の骨粗鬆化の治療を試みることは、これまでにない新しい薬物治療の開発につながる興味深い研究と考える。
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研究成果の概要 |
本研究ではマウスの大腿部の皮膚を筋膜まで切開するモデルマウスを用いて軟部組織損傷により疼痛を誘発する環境が骨代謝に及ぼす影響を検討した。切開した患側は健側と比較して有意に疼痛行動の誘発を認め、損傷後1,5,7日では骨代謝マーカーの有意な発現増強をみとめた。創治癒を認めた14日では健側と有意差を認めなかった。骨吸収抑制薬やCox2抑制薬を用いた検討では2つの薬物それぞれが疼痛行動を部分的に改善したが、Cox2抑制薬には骨代謝マーカーの発現抑制効果はなかった。更に2つの薬物を同時に投与すると疼痛行動は著明に抑制された。このことは疼痛を誘発する組織環境が骨代謝亢進を誘発することを示した結果と考える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ズデック骨委縮や複合性局所疼痛症候群に代表される運動器の難治性疼痛疾患の多くは罹患部位の骨粗鬆化を合併する。また、外傷後や手術後に発生する患肢の骨粗鬆症化は疼痛の誘発や患者の日常生活動作を障害するのみでなく、高齢者においては骨折の危険性を増大させる。これまでは外傷や疾患に伴う非荷重や不動化が骨粗鬆症化の原因と考えられてきた。しかし、今回の研究成果より、運動器の疼痛を引き起こす病的な組織変化自体が骨粗鬆症発生の直接原因の1つとなることを示すことができた。このことは、外傷や疾患に伴う疼痛症状を改善することが、その後に発生する可能性のある骨粗鬆症変化を予防する可能性があることを示唆していると考える。
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