研究課題/領域番号 |
20K09521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
横山 修 福井大学, 学術研究院医学系部門, 名誉教授 (90242552)
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研究分担者 |
伊藤 秀明 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00345620)
小林 基弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (00362137)
多賀 峰克 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (00529349)
青木 芳隆 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (30273006)
大江 秀樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (70760510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 夜間多尿 / 夜間頻尿 / 抗コリン薬 / アクアポリン分子 / デスモプレシン / cAMP / 腎皮質集合管 / 腎集合管 / アクアポリン2 / ナトリウム / バソプレッシン / ラット / 抗利尿 / 腎 |
研究開始時の研究の概要 |
夜間多尿に起因する夜間頻尿は難治である。2019年デスモプレシン製剤が上市され夜間多尿の治療選択肢が広がったが、適応が男性のみで高齢者では低ナトリウム血症のリスクも高い。われわれは眠前の睡眠薬・抗コリン薬、α遮断薬が夜間多尿を改善し尿産生リズムを夜から昼型へ戻す可能性を報告した。準備実験でも抗コリン薬が腎尿細管~集合管に作用し、尿が再吸収される可能性が示唆される結果が得られた。アクアポリン(AQP)は細胞膜を通して水分子を移動させる。腎にはAQP1、2、3、4、6、7、11 が存在するがAQP2あるいはAQP6が抗利尿の責任分子ではないかと仮説を立て、疑問を解き明かす研究を計画した。
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研究成果の概要 |
抗コリン薬の尿量減少効果が膀胱と腎のどちらに起因するか実験した。ラット膀胱では食塩水とブドウ糖が吸収されたが抗コリン薬による差はなかった。腎での吸収は生食を静脈投与して利尿状態を作成し抗コリン薬とdDAVPを投与した。尿中AQP2濃度、腎を皮質と髄質に分けてAQP2蛍光免疫染色、腎cAMP量測定を行った。利尿状態ではAQP2分子は皮質集合管細胞質内に分布、抗コリン薬で尿産生が抑制、AQP2分子は集合管管腔側へ移動、抗コリン薬とdDAVPにより腎皮質cAMPは有意に増加、尿中AQP2排泄量は増加した。抗コリン薬は腎集合管でのAQP2を介した尿再吸収を促進する。ムスカリンM1受容体が関与する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膀胱はこれまで尿の代謝に影響を与えないと考えられていたが、機能的膀胱容量に達するとヒトの膀胱で水吸収が生じる。本研究でも膀胱上皮を介する尿吸収メカニズムが存在することを示した。しかし、抗コリン薬による膀胱での尿吸収促進は否定的で、抗コリン薬は腎皮質集合管のcAMP上昇、AQP2分子の管腔測への移動を介して抗利尿に働く可能性があること、Na+などの電解質も再吸収される可能性があることを初めて報告した。臨床的にも短時間作用型抗コリン薬が夜間尿量を減少させることが報告されているが、抗コリン薬が尿量減少をもたらす機序として腎皮質集合管でAQP2が関与していることを初めて証明した。
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