研究課題/領域番号 |
20K09543
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
富澤 信一 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00704628)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | エピジェネティクス / 生殖細胞 / 精子形成 / 幹細胞 / ヒストン修飾 / 不妊 / Kmt2b / Tsga8 / 不妊症 / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
精子形成異常を伴う「男性不妊症」の4~6割の発症機序は不明といわれる。正常な精子形成にはDNA、染色体構造、エピゲノムのいずれにも問題がないことが求められる。「エピゲノム」は主に染色体上に施される修飾の状態のことで、これがないと遺伝子は正常に発現することができなくなる。ところが、エピゲノム異常と不妊との関係についてはいまだ未知の部分が多い。我々はこれまでに、エピゲノム修飾にかかわるKmt2bタンパク質がないと精子形成がうまくいかないことを示した。本研究ではKmt2bが関与する遺伝子の中から不妊につながるものを同定し機能を調べることで、不妊発症機構解明への貢献を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は不妊の発症機序をエピゲノムの観点から解明するものである。ヒストン修飾などのエピジェネティックな因子は生殖細胞の発生に欠かせない。例えば、ヒストン修飾酵素の一つであるKMT2Bが無いと、精子幹細胞分化が障害される。本研究ではKMT2Bが精子形成に与える影響を詳細に解明するために、KMT2Bが制御する2つの遺伝子(Tsga8, Wfdc15a)のノックアウトマウスを作製し、機能解析を行った。すると、両方の遺伝子ともに円形精子細胞以降の精子形成に必須であることが明らかになった。このことから、KMT2Bは精子幹細胞分化にとどまらず、エピゲノムを介して精子形成後半にまで影響を及ぼすと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
男性不妊は不妊症全体の約半数に関与している。ところが、男性不妊の大きな原因となる精子形成不全の発症機序の多くは未解明である。また、エピゲノムの異常がもたらす精子形成への影響は極めて複雑であり、研究途上である。 ヒストン修飾酵素KMT2Bは精子幹細胞において約1000個の遺伝子の発現を制御し、KMT2Bの欠損は精子幹細胞分化の障害を引き起こすことがわかっていたが、その詳細はほとんど明らかではなかった。本研究ではKMT2Bが構築するエピゲノムの詳細と、その制御下にある遺伝子が精子形成に与える影響を明らかにしたもので、不妊症の分子レベルの理解に寄与するものである。
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