研究課題/領域番号 |
20K09642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山田 秀人 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (40220397)
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研究分担者 |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10261900)
笹川 勇樹 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40815304)
出口 雅士 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (50403291)
谷村 憲司 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (80593988)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 不妊症 / 不育症 / 自己抗体 / 抗リン脂質抗体 / 子宮内膜症 / ネオセルフ / 抗リン脂質抗体症候群 / 妊娠合併症 / ネオ・セルフ抗体 / 妊娠高血圧症候群 / 産科異常 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠合併症動物モデルを作成し、aβ2GPI/HLA-DR7が妊娠合併症の病態を惹起する機構を病理組織学、分子生物学や免疫学的手法を用いて解明する。動物モデルを用いて種々の薬物療法を試行し、妊娠合併症を改善できるかを調べ、有用な治療レジメンを探索する。また、前方視的研究として、妊娠合併症や血栓症を有する女性に対して、同意を得てaβ2GPⅠ/HLA-DR7を測定する。妊娠合併症の原因や重症度と抗体価との関係を明らかにする。観察研究として、aβ2GPⅠ/HLA-DR7陽性の女性においては、無治療、低用量アスピリン(LDA)単独療法、LDA+ヘパリン療法の生児獲得率を比較し、治療効果を調べる。
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研究実績の概要 |
1)前向きコホート研究として、正常正期産488人、不育症462人、FGR 124人、HDP 138人、早産≦34週71人、膠原病78人の女性において、同意を得て抗β2GPI/HLA-DR7抗体(ネオ・セルフ抗体)を測定した。ネオ・セルフ抗体の陽性率(>73.3 U)は、不育症16.9%(78人)、FGR 15.3%(19人)、HDP 17.4%(24人)、34週以前早産11.3%(8人)、膠原病34.6%(27人)、正期産5.5%(27人)であった。正常正期産コントロールに比べ、不育症(adjusted OR 3.3、95%CI 1.9-5.6)、FGR(2.7、1.3-5.3)、HDP(2.7、1.4-5.3)は、ネオ・セルフ抗体陽性と関係する疾患であることを明らかにした(p<0.01)(Int J Mol Sci 2023)。 2)観察研究として、ネオ・セルフ抗体陽性の不育症女性のその後の47妊娠において、無治療とLDA/ヘパリン療法の生児獲得率を比較した。無治療6人とPSL 5mg/日2人の生産率50%(4人)に比べて、LDA/ヘパリン療法39人では生産率87.2%(34人)が上昇した(p<0.01)(投稿中)。 3)前向きコホート研究として、ART患者148人を含む不妊症女性224人において、同意を得てネオセルフ抗体を測定した、3回以上の胚移植後の着床不成功を反復着床不全(RIF)と定義した。不妊症の17.9%(40人)でネオセルフ抗体が陽性であった。不妊症女性において子宮内膜症(陽性率28.9%、OR 3.0、95%CI 1.3-7.0)が、またART患者においてはRIF(27.8%、2.9、1.1-8.1)が、ネオ・セルフ抗体陽性と関係する疾患であることを初めて明らかにした(J Reprod Immunol 2023)。抗体陽性の不妊症や反復着床不全には、LDA/ヘパリン療法が有効である可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、動物実験については制限がかかり、実験が予定通りに進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
人を対象とした前向きコホート研究、症例対照研究、治療効果の観察研究は順調に進んでおり、症例数を増やしてさらに成果をあげることを目標とする。新型コロナウイルス感染症の影響が収まり次第、予定した動物実験を開始する。
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