研究課題/領域番号 |
20K09679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
根岸 靖幸 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50644580)
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研究分担者 |
桑原 慶充 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40373013)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 早産 / 流産 / 自然免疫 / 無菌性炎症 / マクロファージ / 樹状細胞 / NKT細胞 / HMGB1 / プロゲステロン / アラーミン |
研究開始時の研究の概要 |
最も多い産科合併症である流早産は病原体感染が主要な原因と考えられてきたが、近年感染が関与しない、いわゆる無菌性炎症による流早産がかなりの割合で存在することがわかってきた。これまで申請者は、病原体感染を伴わない流早産のメカニズムを検討し、自然免疫の過剰な活性化がこれらを引き起こす可能性を指摘してきた。本研究ではマウス実験を中心として無菌性流早産の更なるメカニズム解析を行うとともに、免疫学的手法を用いてその予防因子の検索を行う。そしてこれら因子のヒト胎盤中の免疫細胞に対する効果を検討する事により、臨床における「自然免疫制御による流早産治療」という新しい治療概念への足がかりを構築していく。
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研究成果の概要 |
本研究ではヒト早産の胎盤解析により、無菌性炎症に起因する胎盤での過剰炎症にはマクロファージ、樹状細胞、natural killer T (NKT)細胞といった自然免疫系に属する細胞の異常活性化が発症起点ないしは増悪因子となる可能性を見出した。またその炎症のトリガーにはhigh-mobility group box-1 (HMGB1)などのアラーミンが重要であることも示唆された。さらにマウス実験ではプロゲステロン、ヘパリンなど抗炎症作用を有する薬剤が胎盤の過剰炎症を抑制してマウス流産を予防し得ることを示した。これらの結果を踏まえ、現在我々は新しい流早産メカニズムを提唱した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
早産は日常診療で最も多く遭遇する産科合併症である。これまで病原体感染に起因する絨毛膜羊膜炎はその主要な原因と考えられてきたが、最近明らかな病原体感染を伴わない早産が意外にも多いことが指摘され、これらは原因不明に分類せざるを得ない。さらに早産の治療法には塩酸リトドリンやマグネシウム製剤などの子宮収縮抑制剤、抗菌薬、安静などが行われるものの、その有効性に関しては流動的であり、特に免疫学的観点からのアプローチはほとんどなされていない。本研究成果はこの原因不明早産の新たなメカニズム提唱と免疫学的治療作用点の発見をもたらすものであり、社会的意義は大きいと考える。
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