研究課題/領域番号 |
20K09804
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北口 善之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30772842)
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研究分担者 |
川崎 良 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70301067)
長原 一 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 教授 (80362648)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | スマートフォンアプリ / 深層学習 / 甲状腺眼症 / 画像収集 / AI / 診断支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、専門医の経験が必要であった甲状腺眼症の視診の技術を、近年進歩が著しい画像解析技術を応用することにより非専門医や患者も活用できるようにすることである。専門医は、特徴的な顔貌である上眼瞼後退、上眼瞼浮腫、眼球突出、斜視の重症度を視診により評価した上で、治療適応を決定している。これらの所見は眼周囲の写真を撮影することで客観的な評価が可能となるが、本研究ではモバイル機器を用いて撮影した眼周囲写真に対して畳み込みニューラルネットワークを用いた深層学習を行うことによってこれらの特徴を抽出し、専門医が不在の状況下においても、治療が必要な患者を選別できるようにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
深層学習を用いることにより、眼周囲写真から甲状腺眼症を専門医と同等の精度で識別できることを、第65回日本甲状腺学会で発表した。さらに、甲状腺眼症診療に欠かせない眼球突出度測定についても眼周囲写真から深層学習を用いることにより高精度で推定できることを、第3回日本眼科AI学会でも発表した。さらに、本研究で用いている手法を用いることにより先天性緑内障を眼周囲写真から鑑別するモデルについて、Scientific Reportsに投稿した(in press)。 本研究の最終目標は、深層学習のモデルをスマートフォンに実装することにより、専門医不在の状況下でも甲状腺眼症のスクリーニングができるようにすることである。スマートフォン画像を用いた判定を実現するためには、現在の一眼レフ写真を用いたモデルをスマートフォン画像を用いてファインチューニングすることにより深層学習モデルを最適化する必要がある。これを実現するため、2023年2月より、共同研究機関のオリンピア眼科病院とともに、スマートフォン画像の収集を開始した。 作成したモデルをスマートフォン上で動かす「エッジAI」の技術についても並行して実装が進んでおり、医療機器認定などの課題は残るものの、適切なモデルが作成され次第、スマートフォンアプリとしてのリリースが可能な状態である。当研究の成果により、甲状腺眼症の早期発見や効率的なスクリーニングができるようになり、斜視や失明などの後遺症防止に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
甲状腺眼症を鑑別する深層学習モデルを開発する、モデルの最適化のためスマートフォン画像の収集を開始するという点において、研究は予定通りに進展している。 また、作成したモデルをスマートフォン上で動かす「エッジAI」の技術についても並行して実装が進んでおり、適切なモデルが作成され次第、すぐにスマートフォンアプリとして実装することが可能な状態である。
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今後の研究の推進方策 |
スマートフォン画像の収集を引き続き進める。十分な精度を得るために最低限必要な画像は300枚程度と考えており、研究期間内に収集を行うことは可能と考える。また、甲状腺眼症の活動性、重症度、眼球突出度など、臨床上有用な項目を推定できるモデルの開発を進める。 開発されたアプリケーションは医療機器としてのカテゴリーに属するようになることが想定されるため、PMDAに相談を行った上で社会実装を行なっていく。
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