研究課題/領域番号 |
20K09821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
柳 靖雄 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (90376442)
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研究分担者 |
藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 網膜色素上皮 / 脈絡膜新生血管 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究は網膜色素上皮細胞とBruch膜に着目した欧米型加齢黄斑変性の研究が多かった。しかしながら、アジア型の加齢黄斑変性を脈絡膜異常を主体とした「パキコロイド」というスペクトラムに分類しようという動きが見られる。今後、アジアのAMDの疾患メカニズムをさらに理解するためには、脈絡膜に焦点をおいた基礎研究が必要であると考える。今回の研究から得られる知見研究により、加齢に伴う局所、全身因子がアジア型の加齢黄斑変性にどのように寄与するかについて、分子レベルで明らかとなり、より正確で詳細な全体図が判明してくると期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は前年度に続き、目的とするncRNAの機能を検討中であるが、候補標的につき、さらにbioinfoamaticsを用いた解析および検討を行ない、また、臨床サンプルを用いた解析をおこなうことで加齢黄斑変性のあらたな標的因子について明らかにした。 具体的には 1.滲出型AMDのモデル動物であるレーザー誘発性脈絡膜新生血管モデルの網膜/網膜色素上皮(RPE)/脈絡膜組織よりmRNAを抽出し、RNA sequencing(RNA seq)を行ない、レーザー誘発性脈絡膜新生血管モデルで発現の変動している因子を同定した。(各群 n=4) 2. 同時に、老齢マウスのRPE/脈絡膜組織よりsenescence associated beta-galactosidaseの発現を元に老化細胞をフローサイトメトリーを用いて収集し、若齢マウスより同様に老化細胞を除いた細胞集団を収集した。両者をRNA seqを用いてRPE/脈絡膜での老化細胞での発現変動している因子を抽出した。(各群 n=4) 3. これら2つのRNA seqで共通して変動している因子のうち、血管新生、ならびに、線維症に関連している6因子を同定した。これらはレーザー誘発性脈絡膜血管新生モデル、並びに、老化細胞のいずれも発現上昇が認められており、これらの加齢によるエピジェネティックな変化による発現変動が、加齢黄斑変性における脈絡膜新生血管の活動性に関連している可能性がある。これらの因子は全身疾患では線維症と関連しているとわかっているが、眼科領域ではこれまでに機能報告がほとんどないものである。このため、これらの因子が新たな加齢黄斑変性の標的となる可能性が示唆された。これらの発現を調節するような転写因子やノンコーディングRNAを検索したが明らかとされていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主任研究者の研究施設の移動、ならびに、COVID19により、試薬などの供給が遅れたこと。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに解析中の因子に加えて、昨年度までに同定された、これらの因子の阻害薬が新たな加齢黄斑変性の治療標的となりうるか、in vitroでの機能解析に備え、血管内皮細胞、線維芽細胞を用いた解析を行う予定である。これらの6つの標的の検討においては、これらの因子を直接調節するようなncRNAについては明らかとなっていないため、まずは阻害薬を用いるが、これらのうち、最も強い血管新生抑制作用、並びに、線維症抑制作用が認める因子を同定することを目標とする。すでに、臨床で使用されている血管内皮増殖因子阻害薬をコントロールとして用いる。ncRNAによる発現調節の有無についてもさらにbioinformaticsを用いた検討を行い、ncRNAで発現調節が見られる可能性があれば、miRNAやlncRNAによる転写調節をin vitroで検討する予定である。
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