研究課題/領域番号 |
20K09843
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋田 新介 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (00436403)
|
研究分担者 |
木村 元子 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00345018)
三川 信之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40595196)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | リンパ浮腫 / 線維化 / リンパ管 / リンパ節 / 瘢痕 / 皮下組織 / 再疎通 / 鬱血 / Myosin light chain 9 / 血小板 / 慢性炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、採血によって皮膚皮下組織慢性炎症の活動性を客観化することと、線維化過程を可視化、治療することである。具体的には、血小板由来Myosin light chain 9(myl9)を介した炎症及び線維化の活動性の測定と、1000nmを超える波長領域を観察する近赤外線カメラによるリンパ組織の観察をコア技術として皮膚皮下組織炎症疾患の病態を解き明かす。第一のターゲットとしてリンパ浮腫発症過程における急性のリンパうっ滞から不可逆的組織変化へと至る病態を明らかにし、慢性リンパ浮腫予防治療の開発を進める。これと同時に、普遍的な皮膚や皮下組織の慢性炎症反応に伴う線維化の病理を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
マウスリンパうっ滞モデルおよび創傷瘢痕モデルを用い、急性期から亜急性期における再疎通の障害が慢性うっ滞、線維化の進行の主体であると考え、リンパ流損傷時の順調な再疎通を示すマウスモデルと、再疎通障害を示すマウスモデルを作成して検証した。生体のICG fluorescent lymphography並びに組織学的にリンパ流と、リンパ管、リンパ節の観察を行い、組織の変性について記録した。リンパ節については、1400m,InGaAsカメラを用いた評価を併用した。マウスの腹部リンパ節を用いたリンパ節付き皮弁モデルを作成し、その血流安定性、皮弁生着範囲を確認した。さらに、阻血皮弁、鬱血皮弁モデルを作成し、それぞれの血流不全時におけるリンパ節の組織学的変化を記録した。鬱血、阻血環境における線維化活性化状態として、組織中のCD69-Myl9 systemの活性化が深くかかわっていることを示した。うっ血環境においては、皮下組織での血球成分の漏出がリンパ管への流入に伴い、一連の炎症反応が活性化され、線維化をきたしていると考えられた。マウスの皮膚皮下組織損傷後の瘢痕形成について、骨髄由来細胞の動員の程度による定量化を行い、瘢痕形成を低減させる手法について検証を行った。 ヒト皮膚皮下組織の炎症に伴う不可逆な線維化について、リンパ浮腫の進行に伴う線維化の進行と、創傷治癒過程における異常瘢痕(ケロイド、肥厚性瘢痕)の解析を進めた。高度線維化に伴い発現する蛋白について明らかにし、免疫組織学染色を用いた確認した。採血結果との関連性について解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画よりも皮膚の線維化の対象の範囲を広げ、ケロイド肥厚性瘢痕をも対象として解析を開始することで、より明確に線維化についての解析が可能になった一方で、正常、リンパうっ滞性疾患、ケロイド肥厚性瘢痕の違いを明確にするため、より詳細な分析が必要となった。本研究の本質として、線維化の過程を根本的に明らかにするために、ケロイド肥厚性瘢痕をターゲットとしたことはより本質的かつ成果の社会貢を拡げることになるため、意義深いことであるととらえている。次年度の初期に入念な解析結果を示し、研究としての最終報告を行う方針となった。
|
今後の研究の推進方策 |
実験動物並びにヒトにおける線維化の発生メカニズムを、正常、リンパうっ滞性疾患、ケロイド、肥厚性瘢痕の違いとして明確に示すとともに、線維化を抑制する実験動物結果の検証結果を発信する。今後の研究計画として実験動物結果のヒトでの応用を視野に入れているため、現時点で明確化できる人と実験動物との共通点と相違点を明確に示す。
|