研究課題/領域番号 |
20K09854
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
藤澤 千恵 東邦大学, 医学部, 講師 (10393000)
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研究分担者 |
林 明照 東邦大学, 医学部, 教授 (30218557)
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 非常勤研究生 (60202511)
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 講師 (90392331)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 創傷治癒 / micro RNA / bFGF / KOラット / microRNA / miRNA146bKO / 瘢痕形成抑制 / 骨髄間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚創傷における線維芽細胞の過剰な増生は過度の瘢痕を形成し、拘縮による機能障害から患者のQOL低下を招く。その対症療法はあるが、過度な瘢痕形成を抑制するような予防方法は確立されていない。本研究では、miRNA146b-5p(miRNA146b)がin vivoで線維芽細胞の増生を制御し、瘢痕量を減少させるかについてmiRNA146b欠損ラットで検証する。また、miRNA146bが、線維芽細胞へ分化する骨髄由来のPDGFRα陽性間葉系幹細胞にどのように影響するかを検討する。最終的に、皮膚創傷の過度の瘢痕形成に対するmiRNAを用いた新規予防法開発の基盤形成が期待できる。
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研究実績の概要 |
2021年度までにBasic fibroblast growth factor (bFGF)により誘導されたmicroRNA 146b-5p(miRNA 146b-5p)がPlatelet-derived growth factor receptorα (PDGFRα)を標的とし、その発現を制御することで、瘢痕形成時における線維化を抑制する可能性をin vitroおよびin vivoにおいて示した。 2022年度はSDラットの創傷部へbFGFを添加することによりmiRNA146b-5pが脂肪組織周辺のエクソソーム内および線維芽細胞様細胞にて発現することを確認した。また、miRNA146b-5p inhibitorおよびmimicをSDラット創部へ投与する実験ではbFGFがmiRNA146b-5p発現を誘導することによりPDGFRαの発現を抑制し、コラーゲンの産生低下および血管新生を抑制している可能性が示唆された。さらに、miRNA146b-5pがin vivoにおいて瘢痕抑制へどのように影響するかについて、miRNA146b-5pKOラットを用いて検討した。miRNA146b-5pKOラットとwild typeにおける創傷治癒過程について比較検討を行った結果、創傷治癒過程においてI型、III型コラーゲンの発現および血管新生について違いが認められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
bFGF添加培養線維芽細胞においてmiRNA146b-5pが示した瘢痕形成抑制効果についてin vivoでの検証を行っている。現在までに、SDラットを使用して全層創傷を作成し、bFGF添加することでmiRNA146b-5pの発現が増強し、PDGFRαの発現を抑制することでコラーゲン産生の低下を誘導していることが示唆された。同時に、miRNA146b-5pは血管新生を抑制する可能性が考えられた。このmiRNA146b-5pのin vivoにおける瘢痕抑制効果を更に検討するため、miRNA146b-5pKOラットおよびwild typeを用いて創傷治癒過程への影響について検討を行った。全層創傷を作成後、3~4日(炎症期)、6~7日(増殖期)、10~12日(瘢痕形成期)における組織学的な解析としてHE染色、マッソン・トリクローム染色、免疫組織化学染色を行い比較検討した。創傷治癒の過程の炎症期における組織学的な違いは認められなかったが、増殖期および瘢痕形成期における血管、膠原繊維の発現に違いが認められた。瘢痕形成期における血管数はwild typeラットでは減少したが、miRNA146b-5pKOラットではKi67(+)、CD34(+)血管内皮細胞が多く確認された。また、創傷治癒過程の各時期における膠原繊維をマッソン・トリクローム染色およびピクロシリウスレッド染色で検出した結果、増殖期および瘢痕形成期においてコラーゲンIおよびIIIの発現に違いが認められた。しかしながら創傷治癒の過程は個体によってその進捗に差があること、創部を引っ掻くなどにより更なる炎症を引き起こすことから解析に必要と考えられる匹数を確保することに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 2022年度の結果の更なる解析:2022年度に得られた組織学的な結果について定量的に比較検討を行うとともにmRNAの発現についても検討を行う。 2. bFGFの創傷治癒過程への影響:miRNA146b-5pはbFGFによりその発現が増加することから皮膚創傷部にbFGFを投与し創傷治癒過程にどのような影響があるかについて2022年度と同様に形態学的、組織学的な比較検討を行う。同時にmRNAの発現についても検討を行う。 3. 培養線維芽細胞および脂肪幹細胞におけるmiRNA146b-5pKOの影響:miRNA146b-5pは培養線維芽細胞をbFGF刺激することにより誘導されることを明らかにしている。miRNA146b-5pおよびwild typeのラット創傷部から培養線維芽細胞を作成し、miRNA146b-5pがKOされることによる線維芽細胞への影響を検討する。検討方法として各培養線維芽細胞にbFGF刺激を行い、PDGFRα、collagen I、IIIおよびMMPへの影響をmRNAおよびタンパクレベルで検討を行う。同様に脂肪幹細胞についても比較検討を行う。
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