研究課題
基盤研究(C)
スフィンゴ糖脂質が生体の調節機構に重要な役割を果たすことや、神経疾患や癌などの種々の疾患に関与していることが明らかにされている。申請者も、骨芽細胞にグロボ系スフィンゴ糖脂質Gb4が発現しており、その糖脂質がノックアウトされたマウスでは、骨形成が抑制されることを明らかにした。しかし、その糖脂質が、どのようなメカニズムで骨芽細胞の増殖または、分化を制御しているのかについては不明である。そこで、本研究において、Gb4による骨芽細胞増殖または、分化の制御メカニズムを解明するとともに、その糖脂質による骨再生治療への新規アプローチの可能性を検討し、糖脂質を用いた新規骨再生治療薬の開発を目指す。
骨芽細胞ではスフィンゴ糖脂質GD1aやGb4(グロボシド)は発現しており、それらの糖脂質が欠損したマウス由来の骨芽細胞では、増殖が抑制されることを明らかにした。また、グルコシルセラミド合成酵素阻害によるスフィンゴ糖脂質の生合成の抑制により、骨芽細胞の増殖が抑制されることも明らかにした。そのスフィンゴ糖脂質による骨芽細胞増殖の分子メカニズムとして、angiopoietin-like 6(Angptl6)が関与していることを明らかにした。さらに、GD1aが欠損したマウスでは、骨形成の抑制されることを明らかにした。
スフィンゴ糖脂質が骨芽細胞に発現しているという報告はあったが、それらの糖脂質が、骨芽細胞の増殖に及ぼす影響、さらには、そのメカニズムについてはほとんど明らかになっていなかった。本研究において、骨芽細胞に発現するスフィンゴ糖脂質がその増殖を制御していることを細胞および個体レベルで明らかにし、そのメカニズムも解明した点で学術的に意義がある。また、本研究により、今後、スフィンゴ糖脂質を標的とすることにより、骨形成促進を促すような治療法の開発の一助となる可能性がある点でも社会的な意義は大きい。
すべて 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 23 号: 16 ページ: 9044-9044
10.3390/ijms23169044
Glycoconj. J.
巻: 39 号: 2 ページ: 145-155
10.1007/s10719-022-10051-1
Int. J. Mol. Sci.
巻: 23 号: 1 ページ: 423-442
10.3390/ijms23010423
In Vivo
巻: 35 号: 6 ページ: 3111-3123
10.21873/invivo.12606
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 147 号: 3 ページ: 294-304
10.1016/j.jphs.2021.08.003
Life Sciences
巻: 284 ページ: 119938-119938
10.1016/j.lfs.2021.119938
Anticancer Res.
巻: 41 号: 4 ページ: 1821-1830
10.21873/anticanres.14948