研究課題/領域番号 |
20K10014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (80326694)
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研究分担者 |
下山 佑 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (90453331)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / TGF-β / NGF / 組織再生 / 炎症 / 炎症抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
初年度は ①SCRG1が誘導するシグナル伝達経路を同定し、同定されたシグナル経路を活性化するための ②機能ドメイン(SCRG1-FD)を探索する。次年度以降は ③組換えSCRG1-FD(rSCRG1-FD)を作製して ④歯周炎モデルマウスへrSCRG1-FDを投与することで、炎症の抑制効果を検証する。加えて、 ⑤歯周炎モデルマウスへSCRG1遺伝子改変MSCを投与し、炎症抑制効果と歯周組織再生能を検証する。
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研究実績の概要 |
間葉系幹細胞(MSC)は組織修復に貢献している。また、神経系の修復や再生にはNGFが局所に作用する。一方、マクロファージ等から分泌されるTGF-β1は免疫応答の制御に重要な役割を果たすとともに、NGFの発現を誘導することが知られている。本年度は炎症および抗炎症性の両者の性質を有するIL-6に着目し、MSCにおけるTGF-β1誘導性NGFの発現、ならびにIL-6が神経修復に与える影響を検討した。ヒト骨髄由来MSC株であるUE7T-13細胞におけるNGFのmRNA発現は、TGF-β1刺激によって濃度・時間依存的に促進された。加えて、TGF-β1刺激はUE7T-13細胞におけるIL-6、FGF-2、TGF-β1のmRNA発現をも促進した。IL-6の発現については、ELISA法によるタンパク質の分泌増強ならびにTGF-β Type1受容体とMEK/ERKの各阻害剤による発現抑制の効果が確認された。さらに、TGF-β1で前処理されたUE7T-13細胞の培養上清にsIL-6Rを添加してPC12細胞を培養した結果、神経突起伸長が顕著に増強された。この増強効果はsIL-6R中和抗体で有意に抑制された。同様にtrans-wellチャンバーを用いたUE7T-13細胞とPC12細胞の非接触型共培養においても、sIL-6R添加によりPC12細胞の神経突起伸長が増強し、sIL-6R中和抗体で抑制された。また、TGF-β1はPC12細胞におけるNGFならびにIL-6の発現に影響を与えなかった。本研究ではTGF-β1がMSCに作用することでNGFとIL-6の両者の発現を誘導することが明らかとなった。MSCより分泌されたNGFは神経分化ならびに神経突起伸長を誘導するとともに、同時に分泌されたIL-6が神経突起伸長を増強することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験計画に従って概ね期待される結果を得ることができたが、コロナ禍の影響によって試薬やキット、プラスチック製品等の納品に大幅な遅れが生じたたため、一部の実験において遅れが生じている。特に標的分子の機能ドメインの探索において、明確な結果を得ることができていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、炎症の場に集積したMSCから分泌されたSCRG1がオートクリンにMSCのstemness維持と遊走促進に寄与するのみならず、炎症ならびにそれに引き続く組織再生に寄与することを明らかにする。最終的にMSCをセル・デバイスとする移植実験で、SCRG1による炎症抑制効果と歯周組織再生の両立を実現できるかを検証する。これまでにMφにおいてSCRG1が誘導するシグナル伝達経路の同定、SCRG1によってCCR7の発現が増強されたMφがCCL19に対する走化性を特異的に獲得すること、さらにはMSCより分泌されたNGFは神経分化ならびに神経突起伸長を誘導するとともに、同時に分泌されたIL-6が神経突起伸長を増強することを明らかにした。最終年度は血管新生、軟骨形成、腫瘍形成のほか骨形成にも関与しているCTGFにも着目するとともに、SCRG1機能ドメイン(SCRG1-FD)を探索する。具体的には、SCRG1の親水性ドメイン(His39-Gly64、Pro80-Gln98)を中心に人工遺伝子を合成し、発現ベクターにサブクローニングする。HEK293細胞にトランスフェクション後の培養上清でRaw264.7を処理し、ERKの活性化を指標に機能ドメインを決定する。SCRG1機能ドメインのみを発現するベクターpSCRG1-FDを作製し、酵母または大腸菌で大量発現させた組換えSCRG1-FDペプチドを作製して歯周炎モデルマウスへ投与する。このin vivo実験においてSCRG1-FD投与による炎症抑制効果と組織再生への寄与を検証する。加えて、歯周炎モデルマウスへSCRG1遺伝子改変MSC(SCRG1を高発現またはノックアウトさせたMSC)を投与し、炎症抑制と歯周組織再生の両立を実現できるかを検証する。これらの結果を総合的に評価することで、SCRG1の有効性ならびに臨床応用の可能性を評価する。
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