研究課題/領域番号 |
20K10049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野崎 浩佑 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00507767)
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研究分担者 |
陳 鵬 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70708388)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | チタニア / 表面電荷 / 光触媒 / 色素分解 / 光触媒作用 / 結晶成長制御 / 酸化チタン / 生体親和性 / 高次構造制御 / 高次構造 / 電気分極 / 光触媒活性 |
研究開始時の研究の概要 |
チタニアは,その光触媒活性により抗菌性生体材料への応用が期待されているものの,十分な抗菌活性を有しておらず,臨床応用には至っていない.本研究課題では,チタニアの結晶方位と酸素空孔の3次元空間的位置を制御することにより,チタニアの光触媒活性を向上させ,十分な抗菌活性を有する抗菌性生体材料を開発するとともに,歯科補綴装置への臨床応用に向けた抗菌性歯科補綴装置の開発を目的とする.
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研究実績の概要 |
歯科疾患の多くは,細菌感染症によるものであり,抗菌性生体材料の開発が望まれている.酸化チタンは,歯科用インプラント材料のコーティング材や,義歯洗浄剤,ブリーチング材料として用いられている.酸化チタンの抗菌性メカニズムには,UV照射による材料表面での酸化還元反応によるものが多く,その高機能化が求められている.酸化チタンの高機能化には,異種金属を表面に担持させ,電子の流れを制御するものや,異種元素を固溶し,吸光特性を変位させることにより達成される.しかしながら異種元素の使用は,生体材料としての安全性を加味すると,主種の検討が必要となる.そこで,酸化チタンの構造に着目した検討がなされている.酸化チタンは,一般的な合成を行うと{101}面が約95%を占めるが,適切な阻害剤を用いることにより{001}面が露出した酸化チタンを合成することが可能となる.{001}面は{101}面と比較して,表面自由エネルギーが高いことから種々のイオンやたんぱく質が吸着しやすく,また,その光触媒作用が高いことが報告されている.また,我々は,マイクロアーク酸化により形成したチタニアを電気分極による双極子モーメントの制御により,表面電荷が誘起し,生体活性が向上することを報告した.電気分極処理による表面改質法は,チタニアの組成を変更せずに機能向上可能なことから近年注目されている.しかしながら,本手法によるNSの高機能化は不明である.本年度は,このような酸化チタンの合成を試み,その光触媒活性を評価した.光触媒活性の評価として,メチレンブルー溶液の脱色試験を行った.表面電荷を制御することにより光触媒活性が異なり, 分極NS0.3が最も光触媒活性が高いことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
チタニアナノシートの出発原料として,ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとチタンブトキシドを使用した.F/Ti比が0.3となるようにチタンブトキシドを滴下し,混和した.得られた前駆体を水熱合成した後に,蒸留水およびメタノールで超音波洗浄し,凍結乾燥を行った.作製した粉体をXRDにて解析した結果,アナターゼ型チタニアに一致するピークを有していた. NS0.3では長さ6.3nm厚み4.9nmであった.UV-visによる吸光度の結果より,Tauc plotを作製し,光学的バンドギャップを求めたところ3.2eVであった.次に,NS0.3の表面電化制御のため,電気分極処理を行った.NS0.3を白金箔の電極で挟み込み,300V/mm,300℃にて1時間直流電界下にて電気分極処理を行った(P-NS0.3).対照群として,NS0.3を0V/mmと300℃の条件で同様の工程で加熱のみを行なったものとした(NP-NS0.3). 光触媒活性の評価のため,0.3mMメチレンブルー溶液(MB)を用いて光触媒活性による脱色試験を実施した.それぞれの試料が10mg/mLとなるようMBと混和した.試料を,20℃,365nm,2.5mW/cm2の条件でUV照射を行った.照射開始から一定時間経過毎に遠心分離を行い,上清を10倍希釈し,630nmで吸光度測定を行った.脱色試験ではいずれの試料においても吸光度の減少が認められ,480分後において最も減少したのはNP-NS0.3であった.NP,NS0.3いずれも電気分極処理した試料がより減少し,その効率はNPと比較してNS0.3がより大きかった.電気分極処理による表面電荷の誘起は,NS0.3およびNPともに有効であるが,NS0.3の方が効果的であることを示唆さしている.このことは,試料中に存在する双極子モーメント形成のキャリアとなる欠損などに依存すると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,表面電荷を制御したチタニアナノシートにより生じる酸化還元反応が色素に及ぼす影響を再調査する.チタニアの光触媒作用の本体は,ナノシート表面で繰り返される電子供与であり,それらを制御することがチタニアの生体材料へ応用した際の高機能化に続くと考えられるが,表面電荷を制御した試料が酸化還元反応を制御するメカニズムは不明である.また,脱色のプロセスは色素の吸着と分解が生じることから,表面電荷が色素の吸着を促進したために,脱色が促進された可能性が考えられ,今後の検討課題である.また,歯科用インプラントのように体内埋め込み型のバイオマテリアルを設計する上で,粉体のような試料は適応することが困難で,その応用方法の開発が必要である.ナノ粒子のような試料はコーティングによる応用が検討されているが,本研究により得られた結晶方位が制御された材料の場合,その結晶方位の特徴を活用可能なコーティング法の利用が考えられる.また,ナノ粒子の細胞毒性は幅広く報告されており,本研究成果のような数十ナノメートルの大きさによる細胞毒性が懸念される.今後,チタニアナノシートの高機能化とともに安全な生体材料として利用する上でその材料設計の指針を提示することが必要と考えられる.
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