研究課題/領域番号 |
20K10192
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岡田 明子 日本大学, 歯学部, 教授 (10434078)
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研究分担者 |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 教授 (20362238)
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 特任教授 (60160115)
今村 佳樹 日本大学, 歯学部, 教授 (90176503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | IFN-γ / 神経障害性疼痛 / アストロサイト / ミクログリア / IFN-γアンタゴニスト / pGluR1 / 異所性疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
下顎の神経を支配する下歯槽神経を切断し,上顎の支配神経である上顎神経支配領域にまで異常疼痛を生じさせた神経障害性疼痛モデルラットを作製する。このモデルラットを用いて、顔面の侵害刺激の情報が運ばれる延髄三叉神経脊髄路核領域に存在するサイトカインの一種,IFN-γの作用機序を詳細に調べる。さらに,IFN-γ受容体の阻害薬をVc領域に局所投与し,鎮痛効果と鎮痛作用機序について詳細に調べる。
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研究実績の概要 |
三叉神経の障害により,口腔顔面領域に難治性の神経障害性疼痛を発症することがあるが,詳細は明らかにされていない。本研究では,上顎神経を障害させた(infra orbital nerve injury; IONI)神経障害性疼痛モデルラット(IONIラット)を作製し,サイトカインIFN-γの関与を調べることにした。上顎神経支配領域(V2)の口髭部への機械刺激に対する逃避反射閾値(HWT)は,IONI後に有意な低下を認めたが,三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)領域へのIFN-γ受容体アンタゴニスト投与によりその低下は抑制された。また,IONIにより,Vc表層におけるIFN-γたんぱく量は有意に増加し,VcにおけるミクログリアマーカーのIba1,アストロサイトマーカーのGFAP,神経細胞のマーカーであるNeuNとIFN-γ受容体の免疫二重染色では,GFAP陽性細胞だけに多くのIFN-γ受容体陽性発現が認められ,アストロサイト上にIFN-γ受容体が発現していることが示唆された。Naive ラットのVcにIFN-γを投与することによりHWTが低下したが,IFN-γとアストロサイトのインヒビターであるFCの同時投与により,その低下は抑制された。また,VcにおけるGFAP陽性発現量は,IFN-γの投与によりVc表層において有意に増加し,IFN-γとFCの同時投与にて,その増加が抑制された。Vcにおける侵害受容ニューロンの自発放電頻度および機械応答は,shamラットとFN-γ投与のIONIラットと比較し,IONIラットにおいて有意な増加を認めた。以上の結果より,三叉神経の損傷によって産生されたIFN-γがVcにおけるアストロサイト上のIFN-γ受容体と結合し,アストロサイトが活性化され,眼窩下神経障害により引き起こされる口腔顔面の痛覚過敏に関与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画より研究は遅延している。当初計画していたグルタミン酸受容体の一つであるpGluR1のVc領域での陽性発現が明らかでなく,数社のpGluR1抗体で再免疫染色を行ったが,十分な発現量は認められなかった。また,IFN-γ受容体のミクログリアでの発現様式を確かめる必要があり,脊髄における2重免疫染色の追加実験を施行したため時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
FN-γが異所性の神経障害性疼痛に関与することをは示されたが,IFN-γがどの細胞から産生されるかは未だ不明のままである。よって,ミクログリアとアストロサイト細胞培養を行い,ELISAキットを用いてIFN-γの同定を行いたい。途中までの結果をまとめて国際雑誌に投稿したが,細胞培養の結果をもって論文を完成させ,新たに国際雑誌に投稿する予定である。
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