研究課題/領域番号 |
20K10215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石井 武展 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (80433978)
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研究分担者 |
松永 智 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (70453751)
中村 貴 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80431948)
溝口 利英 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (90329475)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 変形性顎関節症 / 性ホルモン / メカニカルストレス / 変形性顎関節炎 / 顎関節 / 軟骨細胞層 / エストロゲン / アンドロジェン / 機械的刺激 / ANGPTL-7 / CAR-1 |
研究開始時の研究の概要 |
変形性顎関節症の病態はいまだ充分に理解されていない。本症で矯正歯科を受診する患者は、不正咬合及び月経不順を伴った比較的若年者や閉経後の女性が比較的多いために、機械的刺激を下顎頭に加えた不正咬合および月経不順や閉経を想定した卵巣摘出マウスを用いて軟骨細胞層の破壊や軟骨細胞層直下の骨破壊を再現できる変形性顎関節症モデルマウスを作製し、その病態を解析する。さらに申請者が見出した変形性顎関節症の下顎頭で発現が亢進しているANGPTL-7とCAR-1の2つの遺伝子についても、シグナル伝達経路を明らかにして変形性顎関節症の病態理解を深めることに加え、膝関節などに発症する変形性関節症との異同を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では「性ホルモン欠如」と「顎関節への過度なメカニカルストレス付加」の複合要因により、より重度な変形性顎関節症マウスモデルを確立し、マイクロアレイ解析により遺伝子の網羅解析を行い変形性顎関節症疾患感受性遺伝子を新たに発見することを目指した。 組織形態計測分析により、雌雄マウスにおいて「性ホルモン欠如」と「顎関節への過度なメカニカルストレス付加」の条件を組み合わせた実験群でより重度な変形性顎関節症が発症することを確認した。「性ホルモン欠如」と「顎関節への過度なメカニカルストレス付加」により、従来から変形性顎関節症マウスモデルで言われているようにMMP13の亢進による軟骨基質の破壊が認められ、さらに軟骨細胞層直下の骨化領域での破骨細胞の増加により顎関節の破壊が変形性顎関節症の病態の実態であることが示唆された。 この顎関節頭から抽出したRNAを用いて、マイクロアレイ解析による遺伝子の網羅解析を行なったところ、Angptl7およびCar1遺伝子がコントロール群と比較して約3倍から5倍の発現亢進を示した。免疫組織染色により、Angptl7は軟骨細胞、Car1は骨芽細胞に局在することを明らかにした。これらの結果より、in vitroで各遺伝子の機能解析を行ったところ、Angptl7を過剰発現する軟骨様細胞が石灰化を増強し、骨芽細胞様細胞がCar1を過剰発現することにより細胞増殖および石灰化が抑制されることを示唆するデータを得た。 本研究では、発症への関与が示唆されるMMP13などの細胞外マトリクス分解酵素以外の変形性顎関節症関連遺伝子Angptl7とCar1を新たに見出したとともに、雌雄ともに17βエストラジオールの欠乏が変形性顎関節症の誘因となっていることが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、雄のマウスにおいて精巣を摘出するだけでは、雌のマウスほど重篤な変形性顎関節症が発生しないことから、雄の場合には精巣を摘出するだけでは不十分であり何かしらの顎関節予防効果を疑った。これは精巣を摘出したとしても精巣以外の組織から分泌されるテストステロンが副腎にてアロマターゼにより17βエストラジオールに変換され、その結果、男性では女性に比べて顎関節保護効果が高いのではないかと推測した。そこで、雄のマウスを用いて、精巣を摘出するだけでなくアロマターゼ阻害薬を投与して、完全に17βエストラジオールを遮断したのちに、顎関節にメカニカルストレスを加えた。その結果、精巣を摘出後、アロマターゼ阻害薬を投与してメカニカルストレスを加えたものでは、より重篤な変形性顎関節症を惹起することが判明した。そこで、これらの精巣を摘出後、アロマターゼ阻害薬を投与してメカニカルストレスを加えたマウスに対して17βエストラジオールの補充療法を与えたものを評価した結果、17βエストラジオールの補充療法を行ったものでは、明らかに変形性顎関節症は予防され、17βエストラジオールの欠乏が変形性顎関節症の誘因となっていることが証明された。
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今後の研究の推進方策 |
変形性顎関節症は17βエストラジオールの欠乏と顎関節にメカニカルストレスが加わることで、下顎頭部分の軟骨細胞にAngptl7が分泌されて軟骨部分の石灰化が進み、下顎頭軟骨直下の石灰化骨組織における骨芽細胞にCar1が分泌することで細胞増殖および石灰化が抑制された結果、脆い組織構造になりメカニカルストレスにより破壊される可能性が示唆された。しかしながら、雄性マウスでは精巣を摘出するだけでは変形性顎関節症は惹起されにくく、雄性の場合には精巣以外の組織が生成するテストステロンが副腎にてアロマターゼにより17βエストラジオールに変換され顎関節保護に寄与していることが証明された。 今後は、17βエストラジオール欠乏がなぜAngptl7およびCar1の発現を亢進するのかという点に注目し、最終的に17βエストラジオールがどのように、軟骨細胞におけるAngptl7と骨芽細胞におけるCar1を制御しているのかという点について、in vivoとin vitroの実験により解明し、変形性顎関節症の発症メカニズムについて明らかにする。
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