研究課題/領域番号 |
20K10442
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
原田 哲也 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (70516723)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | vanA線状プラスミド / バンコマイシン耐性腸球菌 / 線状プラスミド / 耐性プラスミド / VRE / 地域流行 / 院内伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
2016年以降大阪府で報告されているvanA遺伝子保有の多クローナルなバンコマイシン耐性腸球菌による地域流行と院内伝播について、その発生要因を明らかとすることを本研究の目的とする。この要因について、「伝達性のvanAプラスミドの水平伝播が多様な菌株による地域流行を引き起こし、このプラスミドが院内環境に適応した生残性の高い菌株に次々に伝達されることで、院内伝播が発生・拡大している。」と仮説を立てた。 代表株の全ゲノム情報と表現型の両側面から、①バンコマイシン耐性プラスミドの相同性と伝達機構、②世界的院内感染流行株との遺伝的関連性、③薬剤感受性および環境生残性の3点を明らかにし、この仮説を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、大阪府とその近隣県における2016年以降の多クローナルなvanA保有Enterococcus faeciumの出現と拡大要因を明らかとするため、 全ゲノム解析や接合伝達試験により起因菌の比較解析を実施した。その結果、代表株56株中51株が、直線状という特殊な形態を持つvanA耐性プラスミド(vanA線状プラスミド)を保有する可能性が示された。また、vanA線状プラスミドは、比較対照とした環状プラスミドと比べ高頻度に菌株間で伝達された。そのため、多様なE. faeciumに本プラスミドが次々に水平伝播されることが、出現・拡大の一因であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、大阪府とその近隣県で2016年から現在まで続くバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症の拡大について、その要因の一つが、世界的にほとんど例のないvanA線状プラスミドの水平伝播である可能性が示された。これは、本地域内でのバンコマイシン耐性遺伝子伝播に関する新知見となった。この知見により伝播事例においては、プラスミドの同一性という視点からも分離株を精査することが重要であることが分かり、このような精査でより精度の高い分子疫学調査が実施できる。そのため、地域内あるいは院内伝播の早期探知が可能となり、迅速な感染拡大防止策につながることから、その社会的意義も高いと考えられる。
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