研究課題/領域番号 |
20K10449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
崔 正国 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (90572115)
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研究分担者 |
稲寺 秀邦 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (10301144)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ヒ素 / バイカリン / アポトーシス / SIRT3 / がん / 細胞死 / 活性酸素 / フェニルアルシンオキシド / 天然薬物 / 肺がん / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
ヒ素は毒の王である。慢性ヒ素中毒は肺に強い発がん性を有する。日本では、水道法でヒ素の水質基準値を0.01mg/Lと定めている。しかし、世界中70か国の2億人以上が、安全な水源がなく、ヒ素に汚染された水を飲用している。また、有効な予防治療薬もない。一方、マイクロRNA(miRNA)は、遺伝子の発現を制御し、細胞の生理的、病理的な変化に重要な役割を果たす。特に、発がんmiRNAの解析はがん研究領域で非常に重要である。本研究では、慢性ヒ素中毒による肺がん発生に特異的なmiRNAを標的とし、慢性ヒ素中毒が誘発する肺がんの予防に有効な候補薬剤をスクリーニングする。
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研究成果の概要 |
本研究は、ヒ素中毒予防治療法の確立を目指して、フェニルアルシンオキシドの曝露による細胞毒性における天然薬物バイカリンの保護効果と分子機序について解析した。フェニルアルシンオキシドの曝露は細胞の生存率を有意に低下させ顕著な細胞死を誘導した。その細胞死には、細胞内活性酸素の過剰生成を抑制するミトコンドリア局在タンパク質サーチュイン3(SIRT3)の活性抑制が関与することが判明した。また、バイカリンによりSIRT3の活性低下を効果的に回復させ、フェニルアルシンオキシドによる細胞内酸化ストレスを抑制することで細胞死を有効に保護することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒ素は毒性が非常に高く、急性毒性の致死量は1.5mg/kgである。また、国際がん研究機関において発がん性が最も高い化学物質Group1に規定されている。一方、ヒ素は半導体、液晶ガラスなどの生産で重要な材料の一つになっている。しかし、ヒ素の中毒については特効薬がない。本研究では、毒性が最も高いヒ素化合物であるフェニルアルシンオキシドが誘発する細胞毒性を天然薬剤バイカリンにより有効に保護し、その分子メカニズムがSIRT3の活性とミトコンドリアの機能回復にあることを見出した。本研究の成果はヒ素中毒の特異的な予防治療法の開発のため重要な情報を提供することと考えられる。
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