研究課題/領域番号 |
20K10608
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
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研究分担者 |
グレッグ 美鈴 名桜大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60326105)
益 加代子 大阪公立大学, 看護学研究科, 准教授 (80511922)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 看護補助者 / Healthcare Assistant / Nursing Associate / キャリアパス / 業務区分 / イングランド / 研修プログラム / 介護福祉士 / 技能実習生 / 外国人留学生 / 介護労働者 / 人材確保 / 多文化共生 / 多様性 / 人材マネジメントシステム / モデル開発 |
研究開始時の研究の概要 |
まず、医療施設の、看護補助者に対するマネジメントの現状と課題を、看護補助者および 看護補助者にかかわる看護管理者の視点から明らかにする。 次に、人材の採用・配置、業務 分掌、能力開発、教育研修など、マネジメントの各要素に影響する要因と、要素間の連関を 明らかにする。 これらをもとに、人材マネジメントシステムのモデル案を作成し、研究分担者・研究協力者と共にその内容を検討する。 そして、研究協力者等の病院において、実際に このモデル案を用いて、マネジメントシステム構築と人材マネジメント計画を立案する。この過程で、新たな課題や問題点を検証し、修正を重ねた上で、モデルを完成させる。
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研究実績の概要 |
令和5年度は主として、コロナ禍のため遅れていた海外でのヒアリング調査を実施した。対象国は英国・イングランドで、訪問先は、看護協会、国の看護職登録機関(Nursing and Midwifery Council:NMC)、ならびに国の看護補助者調査を主導した大学教授であった。結果概要は以下のとおり。まず、英国の看護補助者にはHealthcare Assistant(HA)、 Assistant Nurse Practitioner(ANP)、そして2017年より養成が開始されたNursing Associate(NA)があり、これらはNursing Support Workforce とまとめられている。NAは、看護師、助産師と同様にNMCに登録されている唯一の「上級」看護補助者である。登録により基準ができ、統一した教育が実現している。一方、HAやANPにはcare certificateという認定がなされているが、必須ではないため教育の標準化はできておらず、ケアの質も保証できていない。NAは日本では看護師の仕事である採血や膀胱留置カテーテルの挿入などのトレーニングを受けており、2年間の徒弟制度教育の後に、看護師課程に進むキャリアパスも開かれている。しかし、患者への直接ケアに魅力を感じてNAに留まっていると語る人もいた。労働経済学者で国の研究費を得て実態調査などを行っている教授は、資格・認定の違いによる業務区分は決して明確ではないと語った。このように、教育と資格取得、給与体系がうまく連動しているように見えた英国のシステムも、実際の運用では矛盾を孕んでいることが明らかになった。看護師とNAとの役割区分は明らかにされているが、実際の仕事は所属組織によって多くの違いがある。以上から、日本における人材マネジメントシステムの基本構想への示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍により、国内ヒアリング調査と海外ヒアリング調査がそれぞれ予定した年度に行えず、現時点で計2年遅れている。また、令和6年度の診療報酬改定において、看護補助者関連の新たな規定が加わり、これによって全国の医療機関が独自のキャリアラダーや教育計画を作成しはじめている。以上のような事情と情勢の変化を踏まえて、当初計画では国内・国際調査の結果を踏まえてモデルを試作し、その有効性を病院調査で確認する予定であったが、今後の進行計画を変更する必要が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
モデル開発に向けた計画を、以下のように変更し目的を達成する。まず、文献資料などから、作成されているラダーや教育計画をまとめ、基本形としてのモデルを試作する。次に、各医療機関でのラダー等の作成状況と、賃金体系との関連を把握するため労使双方に対する調査を実施する。調査対象は、全国の病院のうち、急性期看護加算を算定しているところからサンプリング。労働側調査すなわち看護補助者調査については、多彩な看護補助者を一定数雇用している病院として、500床以上の急性期病院を機縁法によって選び、看護管理者への依頼・了承を経て質問紙調査を実施する。以上の結果をまとめて、最終的に、モデルと今後の運用について提言をまとめることとする。
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