研究課題/領域番号 |
20K11267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
川澄 正史 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (40177689)
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研究分担者 |
大矢 哲也 日本医療科学大学, 保健医療学部, 准教授 (60514247)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 携帯端末利用 / 周囲注意度 / 歩行 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者を想定した携帯端末利用者の周囲への注意度評価,高齢者の姿勢制御・歩行の解析,生理状態計測技術を開発し,また,歩きスマホに遭遇した際の反応・挙動も研究してきた.今回新たに,混雑時の駅階段での歩きスマホ,狭空間での携帯端末利用,その他動きながらの利用,それぞれの場面を想定し,利用者の注意度の評価精度を高め,歩行・昇降等の変容を計測する.利用形態の多様化が進む携帯端末利用中における注意度低下や転倒危険性について論じる.
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研究実績の概要 |
歩行中や人混み中での携帯端末利用が,利用者自身と周囲への安全に影響を及ぼすことは広く認識されつつある.特に,移動しながらの携帯端末利用(所謂歩きスマホ)が高齢者等の歩行弱者への安全に影響を及ぼすことから,各種対策が検討されているものの利用者の危険意識は低いままであり,歩行弱者側が多くの注意を払い危険回避せねばならない状況である.すなわち,高齢者の転倒が社会的問題となり転倒予防事業が展開されるのに逆行して,歩きスマホの増加により高齢者の歩行環境は悪化し,転倒予防の妨げとなっている.本研究では,混雑時の駅階段での歩きスマホ,狭空間での携帯端末利用,その他動きながらの利用を想定し,利用者の注意度の評価,歩行・昇降等の変容計測を行う. 歩行中及び階段昇降中の利用者が周囲に払う注意を生理学的指標により検討するため,アイカメラ等からなる計測システムを作成し,周辺へ払われる注意の変化の分析を行った.注意程度を評価するための指標の検討を行った.携帯端末利用者が危険回避行動する際の反応を検討するための基礎実験を行った.利用者の負担推定を目的とした生理状態計測を実施した.歩行者同士のすれ違い状況を作り,回避判断のタイミングや回避に必要な情報を視覚からどう得ているか検討した.回避行動開始時の対向者との距離および時間を視線計測装置により計測した.視線情報と回避距離から,胸部と頭部に対向者回避判断に有効な情報があるか考察した.向かってくる対向者を回避する判断に有効な情報は対向者の顔や上半身から得ていると示唆された.携帯端末利用者が俯いて操作していると顔等の情報が得られないが,下半身から情報が得られないか検討継続する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の区分を選択した理由:対面による研究活動日数減などにより実験準備に避ける時間が予定通りに確保できず,実験実施回数も予定より回数減となったため. 本研究では,歩行中および階段昇降中の携帯端末利用者が周囲に払う注意を生理学的指標により検討する.歩行中および階段昇降中の利用者が,他者との接触等の危険を判断した際の反応を生理学的指標および足圧分布データにより検討する.このために必要な計測システムの構築,および準備実験を行う. 令和2年度は,1)周辺へ払われる注意の変化の分析を行うためアイカメラ等からなる計測システムを作成し,複数台並べたPC画面に表示した情報への注意特性につき検討した.また,2)危険回避行動時の体動および足圧分布を計測するシステムの作成を進め,模擬実験を行った.3)利用者の生理状態計測・分析の準備として,心拍変動の周波数成分に着目して負担評価する手法を検討した.ウェアラブルな計測センサと解析ソフトにより計測と分析を進めた. 令和3年度は,引き続き危険回避行動時の体動および足圧分布の計測,模擬実験,利用者の生理状態計測・分析準備を進めた.また,4) 歩行者同士のすれ違い状況を作り,回避判断のタイミングや回避に必要な情報を視覚からどう得ているか検討した. 令和4年度は,引き続き危険回避行動時の体動,利用者の生理状態計測・分析準備を進めた.歩行者同士のすれ違い状況の実験から,向かってくる対向者を回避する判断に有効な情報は対向者の顔や上半身から得ていると示唆された.5) 携帯端末利用者が俯いて操作していると顔等の情報が得られないが,下半身から情報が得られないか検討を行った.6) 歩行者自身が携帯端末利用者側となることも想定した実験開始の準備を進めた.以上のように,本研究に関わる計測システムを用意し,計測と検討を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に引き続き,歩行中や階段昇降中の携帯端末利用者が周囲に払う注意について生理学的指標による検討,および携帯端末利用者が他者との接触等の危険を判断した際の反応について生理学的指標・足圧分布による検討を継続する.研究分担者,研究協力者,学生らの協力により研究を推進する.小型化が技術的に実現された視点計測用アイカメラを導入して実施する.歩行・階段昇降時の実験においては,携帯端末を持たない場合の視点の動線を計測し、これをコントロールとする.携帯端末を持ち,画面注視を指示され歩行・昇降した際の視点の動線をコントロールと比較・解析し、周囲への注意の払われ方の特性を調べる.また,注意度評価の精度を高めるための実験においては,注視する携帯端末画面の周囲に反応用ターゲットを設定し,反応有無や反応時間を用いて注意度につき検討する.接近者に遭遇した携帯端末利用者の反応を調べる実験においては,靴底型足圧分布計測器を用いる.利用者の危険回避の行動特徴を分析する.心拍等の生理状態指標を用いて,利用者の反応時の特徴についても分析する.逆に携帯端末利用者を避ける場合の反応も対象とする.歩行者同士のすれ違い状況において,回避判断のタイミングや回避に必要な視覚的情報について検討を進める.歩行者が携帯端末利用者側となることも想定して計測を実施する.
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