研究課題/領域番号 |
20K11476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 大阪青山大学 |
研究代表者 |
木下 博 大阪青山大学, 健康科学部, 研究員 (60161535)
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研究分担者 |
中西 康人 大阪産業大学, スポーツ健康学部, 教授 (50622669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 利き手 / 精密把握 / 力制御 / 道具使用 / 動的・静的運動 / 左利き者 / ターゲット照射 / 運動制御 / 左右差 / 側性 / 把握力 / ターゲット / 指 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の脳は機能非対称性の半球を有し、左半球は言語処理や道具使用に必要な巧緻で動的な運動制御に、右半球は空間認知機能や静的位置(姿勢安定)制御で優位性を発揮する可能性が示唆されている。また、右利き者と左利き者では、半球間の機能非対称性度合に差がある可能性も示唆されている。本研究では、レーザーポインタ付きで把握力計測可能な小型把握器(道具)を設計・制作し、側性の異なる健常成人群による物体の摘み持ち上げ(動的)・保持(静的)・標的追従(動的)課題実施する。その際の把握力と物体の変位連続計測から微細な運動制御時での脳の機能非対称性の影響と機能非多少性度合差の可能性について検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、精密把握運動実験を通して利き手の動的制御機能優位性および非利き手の静的制御機能優位性仮説の検証、さらにその仮説の側性との関係を明らかにすることを目的した。今年度は、利き手調査で強い左利きと断定された被験者を対象に左右手への道具使用の影響を検討する実験を実施した. 実験ではレーザー光源を取り付けた把握器を持ち上げ,前方の衝立に設置した2mm径ターゲットを正確に持続照射する道具(レーザーポインター)使用課題と同様の課題をレーザー光源無しで行うターゲットなしの安定保持課題を実施させた. 評価指標としては,運動時間に関する4変数,把握力及び持ち上げ力に関する8変数,物体の位置に関する2変数、および照射精度を各試行で計算し、それらの個々の変数について2元配置(ターゲットと使用手)の繰り返しのある分散分析を施した. ターゲットと使用手の交互作用効果はいずれの変数でも認められなかったが,使用手効果が把握力ピークと把握力微分ピーク,保持把握力平均,ターゲット照射精度で認められ,持ち上げおよび空間保持の両相で把握力が左手(非利き手)で右手(利き手)よりも有意に強く発揮されていること,照射精度も左手の方が高く、持ち上げ力の変動が小さいことが明らかとなった.これらの結果は,昨年度調査した右利き者での結果と同様に利き手の方が非利き手よりも把握物体の固定保持能力に優れていることを示しており,側性に関わらず上肢運動での利き手が動的機能、非利き手が静的位置制御に優れているという先行研究の結果とは一致しないことが示唆された. おそらく腕による粗大的な運動制御と指先の微細な運動制御では,異なる制御戦略が獲得されるものと推察された. これらの内容は,第43回バイオメカニズム学術講演会(オンライン開催)およびその予稿集で公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症に伴う活動自粛で予定していた国内外の学会への参加および共同研究者との研究の打ち合わせ会議のための出張,予定していた実験が実行できなかった.本年度はそれらを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、前年度十分な人数が獲得できなかった左利きの被験者のデータをより多く確保する。また,昨年度の学会発表において利き手・非利き手の差をより顕著に引き出す案として,ターゲット照射よりも複雑な視覚・運動制御課題の導入についての提案があったので,その実験も同時に実施する. その課題としては把握器に取り付けた針先で1mm径程度の微小ターゲットスイッチ到達課題を検討中であり,予備実験を含めて,それらを実施する予定である.それらの実験から得られるデータの解析,統計処理,そして結果をまとめて国内および国際学会で成果の公表,学術雑誌への論文投稿を行う。
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