研究課題/領域番号 |
20K11515
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
高橋 吉孝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10236333)
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研究分担者 |
川上 祐生 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30453202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 血小板型12-リポキシゲナーゼ / 肝星細胞 / NASH / 12-リポキシゲナーゼ / 肝臓 |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、単純性脂肪肝に酸化ストレス等が加わることによって引き起こされ、高率に肝硬変から肝臓癌に進行する。申請者らはこれまでの研究でNASHモデルマウスを用いて、過酸化脂質生成酵素である血小板型12-リポキシゲナーゼが肝星細胞に局在すること、過剰なコラーゲン産生を担う活性化した肝星細胞(筋線維芽細胞)において、その発現レベルが上昇することを見出した。本研究は、NASH進展における肝星細胞の活性化と筋線維芽細胞への分化の過程で、その発現レベルが上昇する血小板型12-リポキシゲナーゼが、肝線維化の進行にどのように関わるか、その全体像を解明する。
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研究実績の概要 |
昨年度までの研究において、樹立したヒト血小板型12S-リポキシゲナーゼを安定形質発現するヒト肝星細胞株において、コントロールのMock細胞と比較して、コラーゲンをコードするCOL1A1とCOL1A2の発現レベルが低下していること、血小板型12S-リポキシゲナーゼノックアウトマウスにメチオニン・コリン欠損食を8週間給餌することにより作成したNASHモデルマウス(MCDマウス)においては、野生型マウスと比較して線維化がより進行することが示された。すなわち、血小板型12S-リポキシゲナーゼの肝星細胞における発現は、肝線維化を抑制する方向に働くことがin vivoと in vitroの両方で示された。 そこで本年度は、ヒト血小板型12S-リポキシゲナーゼを安定形質発現するヒト肝星細胞株とMock細胞の遺伝子発現プロファイルをDNAマイクロアレイを用いて比較し、16倍以上の変化があったものについて、野生型ヒト肝星細胞株とヒト血小板型12S-リポキシゲナーゼの発現レベルの異なる複数のヒト肝星細胞株での発現レベルを検討した。発現レベルが血小板型12S-リポキシゲナーゼ発現レベルと相関した遺伝子について、血小板型12S-リポキシゲナーゼノックアウトマウスと野生型マウスのそれぞれから作成したMCDマウス肝における発現レベルを比較し、肝線維化のレベルに応じて発現レベルが変化し、ノックアウトマウスにおいて野生型マウスでの変化よりも大きいものを拾い上げたところ、複数の遺伝子が特定された。すなわち、これらの遺伝子の発現レベルは線維化のレベルに応じて変化し、血小板型12S-リポキシゲナーゼの発現上昇に伴って発現レベルが変化することが、in vivoと in vitroの両方で示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝星細胞の血小板型12S-リポキシゲナーゼが、NASHにおける肝線維化の進行に抑制的に関わることが解明され、そのメカニズムの一つとして、肝線維化に関わる複数の遺伝子の発現調節を介することが、過剰発現細胞とノックアウトマウスを活用することにより示されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究で見つかった肝線維化に関わる遺伝子が、実際にコラーゲン遺伝子の発現に影響するかどうか明らかにするとともに、これらの遺伝子の発現調節に関わる血小板型12S-リポキシゲナーゼ生成物の同定を進めて行く必要がある。
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