研究課題/領域番号 |
20K11537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
宮沢 篤生 昭和大学, 医学部, 講師 (50465134)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 早産児 / 低出生体重児 / 母乳 / 亜鉛 / 栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
早産児に使用される母乳強化剤には亜鉛が添加されていないため、母乳栄養単独では亜鉛欠乏に陥る可能性がある。我々はこれまでの検討により、早産児では修正40週時点では80%以上が亜鉛欠乏に陥っていることを明らかにした。 本研究では研究初年度に早産児に対する栄養投与量、発育を示すパラメータと血中亜鉛レ ベルの関連性を評価し、亜鉛欠乏症のリスク因子を明らかにする。母親の母乳中亜鉛濃度を経時的に測定し、実際の亜鉛摂取量と血中亜鉛レベルとの関係についても評価する。2021年度以降は早産児に対する亜鉛の早期補充が亜鉛欠乏症の予防やアウトカム向上に及ぼす影響を評価することを目的とした無作為比較試験を予定している。
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研究実績の概要 |
胎児の亜鉛蓄積は妊娠後期に行われるため、早産児は十分な亜鉛の備蓄がない状態で出生する。出生後の母乳栄養、長期静脈栄養管理、出生後の急激な体重増加は早産児の亜鉛欠乏と関連する可能性があるが、わが国で使用される母乳強化剤には亜鉛が添加されていない。本研究では母乳中の亜鉛濃度と児の亜鉛欠乏の関係について評価を行うとともに、亜鉛欠乏が児のアウトカムに及ぼす影響を評価することを目的としている。 2020年11月から2012年末までに48例の早産・低出生体重児をリクルートし、母乳284検体について経時的な亜鉛濃度の測定を行った。分娩後の母乳中亜鉛濃度は生後0週(産後1~7日)で557±195μg/dL、生後1週で510±166μg/dL、生後2週で382±112μg/dL、生後3週で319±97μg/dL、生後4週で282±128μg/dLμg/dLであった。出生時在胎週数と児の生後1週間以内の血清亜鉛濃度の間には弱い負の相関(r=-0.339, p=0.028)が認められたが、在胎週数と生後1~2週間以内の母乳中亜鉛濃度の間には有意な相関は認められなかった。大半の早産児に対して亜鉛製剤の補充が行われていたため、生後0~4週にかけて母乳中亜鉛と児の血清亜鉛の間に相関は認められなかった。一方で、NICU入院中の最大亜鉛製剤投与量が3mg/kg/日以上であった児(n=13)と最大投与量が3mg/kg/日未満であった児(n=35)の比較では、前者において生後2週(433±141 vs 538±168, p=0.001)および生後4週(189±57 vs 320±130, p<0.001)時点での母乳中亜鉛濃度が有意に低値であった。以上より亜鉛濃度の低い母乳は早産児の亜鉛欠乏症に関連している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度から「母乳中亜鉛濃度と児の血中亜鉛濃度の関連性に関する検討」の開始を予定していたが、院内における倫理審査に時間を要したこと、COVID-19感染拡大に伴う分娩数・NICU入院数の減少により、当初の予定よりも対象患者のリクルートに時間を要した。2022年度は早産児に対する亜鉛の早期補充が亜鉛欠乏や児のアウトカムに及ぼす影響を評価する無作為比較試験の開始を予定していたが、同施設内において早産児を対象とした別の臨床試験(治験)が開始され、同様の理由で患者リクルート期間が延長し、対象者が重複するためリクルートを中断せざるを得なかった。(治験は2023年3月までに終了した)
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今後の研究の推進方策 |
2023年春より無作為比較試験の開始を予定しており、現在倫理審査の準備を進めている。
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